JVでの協定給与に消費税?派遣と同じ?

2018年10月10日

JV(共同事業体、ジョイントベンチャー)とは、ひとつの工事を数社の建設業者が共同で請け負う形態です。

共同で別会社を作ったと考えてもよいでしょう。

工事はJVで進めるわけですが、JVに各建設会社から社員を出向しているということで、各建設会社に給与相当額が支払われます。

これが協定給与といわれるものです。

今回は、この協定給与の取り扱いについて解説します。

JVでの協定給与に消費税はかかる?給与だから不課税?

お客様から共同企業体での協定給与について問い合わせがありました。そもそもJVでの処理についてちょっと触れたいと思います。

仮にA社とB社がJV工事を請け負ったとします。工事の内容については下記の通り。

出資比率 A社:B社 = 1:1
請負金額 1,000,000円
労務費  500,000円
材料   300,000円
工事利益 200,000円

出資比率が1:1なのでA社とB社で計上するのは上記の2分の1づつの金額となる。

請負金額 500,000円
労務費  250,000円
材料   150,000円
工事利益 100,000円

ここまでは誰でもわかると思いますが、協定給与があった場合の処理をどうするかです。
上記のA社で監督を一人出向し、A社で実際に払った給料は400,000円だったとします。ただし協定給与としては500,000円JVからA社に支払われるわけです。差額100,000円の処理はどうしよう?という問題が生じます。

JVとA社あるいはB社は別会社と考えずに消費税については一体の会社として処理します。したがって材料や外注費などは消費税の課税として扱い、協定給与については不課税として取り扱います。

本来であれば協定給与の全額を出向者に支払わなければならないところ、たまたま会社がピンハネしたということになります。給与の清算時にたまたま発生した差額なので、資産の譲渡、役務の提供という形式でなく、単なる過不足であると言えます。

極端な話、そんなことはないと思いますが、協定給与より実際の給与が高かった場合は給与の手出しというケースが生まれますが、この場合は手出し部分が消費時の不課税処理という点から行くと、それもありかなと。ちょっと無理やりなこじつけすぎますかね?

差額がプラスの場合は消費税がかかる、マイナスの場合はかからないというのは整合性がないので、やはり協定給与の差額には消費税がかからないと結論付けることにします。

タックスアンサーNo.6129 共同企業体の納税義務

参考までにタックスアンサーを載せておきます。

タックスアンサーNo.6129 共同企業体の納税義務

建設工事や土木工事では、共同企業体、いわゆるジョイントベンチャーを組んで行われる場合があります。
この共同企業体は、通常、各構成員が共同企業体に対して出資を行い、その出資金の持分割合により、利益の分配を受けることになっています。
この共同企業体は、民法上の組合に当てはまりますので、法人税法上も共同企業体の損益は直接各構成員に帰属するものとして取り扱われます。
また、消費税においても、共同企業体が行う資産の譲渡等や課税仕入れは、各構成員の利益の分配割合に応じて、それぞれの構成員に直接帰属することになります。
したがって、共同企業体が建設機材などの購入や請負った工事の目的物の引渡しを行ったときは、それぞれ各構成員の利益の分配割合に応じて構成員が課税仕入れや課税資産の譲渡等を行ったことになります。
なお、発注者から共同企業体が中間金などの名目で金銭を受領した場合に、その受領した金銭を出資金等の持分割合に応じて、各構成員に配賦金として分配したとしても、工事の発注者に対して目的物の引渡しがなされるまでは、単なる前受金でしかありませんから、消費税の課税関係は生じないことになります。

ついでに基本通達も。

消費税法基本通達1ー3ー1(共同事業に係る消費税の納税義務)

共同事業(人格のない社団等又は匿名組合が行う事業を除く。以下1-3-1及び9-1-28において同じ。)に属する資産の譲渡等又は課税仕入れ等については、当該共同事業の構成員が、当該共同事業の持分の割合又は利益の分配割合に対応する部分につき、それぞれ資産の譲渡等又は課税仕入れ等を行ったことになるのであるから留意する。

 

消費税について、知っておきたい豆知識をまとめていますので、ぜひご覧ください。

【まとめ】消費税について知っておきたい豆知識