不動産経営において、ニーズに合った間取りにすることは不可欠です。
最近では、生活の様式化に伴い、和室でなく洋室が好まれます。
つまり、畳ではなくフローリングです。
そこで、フローリング化の工事を施工するとなると、修繕費になるのか資本的支出になるかの判断が必要です。
少額な修繕は、その年度の経費として処理可能ですが、ある程度の金額となると資本的支出なのか修繕費なのか迷うことも多いではないでしょうか?
基本的に畳からフローリングへの変更は資本的支出
金額にもよるでしょうが、一般的には畳からフローリングへの変更は、修繕費として全額を支出時の費用にはできないようです。
賃貸マンションやアパートなどの不動産経営において、最も頻繁に行われる工事は入退去時のリフォーム工事です。
通常、入居者の退去時に壁紙や床をきれいにして居室を入居前の状態に戻す原状回復工事は、「修繕費」として一度に経費計上することが可能です。
しかし、床をクリーニングするだけではなく、畳からフローリングへと変更した場合には、原状回復とは言えません。
賃貸物件そのものの性質、用途が変更されて資産価値の向上が見込まれる工事となります。
このような物件の資産価値を高めたり、耐久性を高めるリフォーム工事は修繕費として全額支出時の費用とすることはできません。
原則として「資本的支出」となり資産計上し、毎年、減価償却費として経費化する必要があります。
ちなみに、和室の畳が古くなったため、新しい畳に交換するようなケースは、修繕費として全額費用計上することができます。
このように、賃貸物件に対するリフォーム工事は税務上、「修繕費」と「資本的支出」とに分類され、それぞれ会計処理が異なります。
修繕費として処理するためには、あくまでも物件の通常の維持管理や原状回復のための費用であることが重要です。
具体的には、破損箇所の原状回復工事や建物を維持するために不可欠となる定期工事費などが例に挙げられます。
一方、資本的支出とされるケースとしては、リフォーム工事を行った結果、賃貸物件の使用可能期間が延長されたり、資産価値が増加するような工事が該当します。
和室から洋室への変更や間取りの変更にかかる費用など、近年の入居者のニーズの変化に合わせるための工事は資本的支出となります。
ただし、20万円未満の少額または、周期が概ね3年以内の工事費用などは修繕費とすることが認められています。
以上のように、リフォーム工事においては、その年に一度に経費計上できる「修繕費」と、一旦資産計上して減価償却しなくてはならない「資本的支出」との判定にあたり十分な注意が必要です。
法人税法の取り扱いについて、注意したい点について一覧にまとめていますので、もしよろしかったらご覧ください。