不動産賃貸業が受け取る原状回復の費用は消費税の課税売上となるのでご注意を

2018年10月10日

不動産賃貸業を営んでいる方は、入居者が退去する際、原状回復費用を請求していると思います。

この原状回復費用、消費税の課税事業者となっていない方は、特に問題はありませんが、テナントが多く、消費税の納付がある方にとっては、注意すべき点があります。

消費税の簡易課税制度を選択している方が対象です。

原状回復費用の消費税の取り扱いについて解説します。

原状回復費用の受け取りは消費税の課税売上に該当

不動産賃貸業を営む方(以下、事業者)が入居者から原状回復費用と称して、金銭を受け取ることがあります。というか、ほとんどは事業者が原状回復を代行して、かかった費用を退去者に請求しています。

通常、アパートやマンションあるいはテナントとして借りる場合は、あらかじめ敷金や保証金を支払っておいて、退去するときに未払家賃や修繕費等を清算するのが一般的です。

仮に入居時に20万円の敷金を預かっていて、退去時に10万円を入居者へ返金、残りの10万円を原状回復費用として受け取った場合は次のような仕訳が発生します。

 

敷金 100,000円 / 現預金 100,000円

敷金 100,000円 / 修繕費(雑収入) 100,000円

原状回復費用に関するタックスアンサー

国税庁のサイトを見ると下記のように記載してあります。

建物賃貸借に係る保証金から差し引く原状回復工事費用

「建物の賃借人には、退去に際して原状に回復する義務があることから、賃借人に代わって賃貸人が原状回復工事を行うことは賃貸人の賃借人に対する役務の提供に該当します。
したがって、保証金から差し引く原状回復工事に要した費用相当額は課税の対象となります。」

上記の場合、100,000円が課税売上となり、修繕費のマイナス処理をしている場合は、消費税の計算で加算しなければなりません。

免税事業者は関係ありませんが、テナントが多くて消費税を支払っている場合は注意が必要です。

たまに「入居者が業者と直接やり取りしていることにすればいいのでは?」という大家さんもいらっしゃいますが、実態を問われると言い逃れが出来ないと思います。

大体が管理会社に一任して処理しているでしょうが、大家がやるべきことを管理会社に一任しているにすぎません。

下手な小細工をせずに、しっかりと消費税を納付することをおすすめします。

原状回復費用は消費税簡易課税制度では第何種?

原状回復費用は、消費税簡易課税制度では下記のように分類されます。

第六種(不動産業)には該当しません。

 

・建物の改装・クロス張替など

→第三種事業

・畳の表替えや簡単な清掃など

→第五種事業

 

税金は払うけれども、事業区分をしっかり分類し、抑えるところはしっかり抑えて納税したいですね。

敷き引きは場合によっては消費税が課税

返還を要しない敷金、敷き引きなんてものがある地域もありますが、この返還を要しない敷金も消費税の課税売上になるときがあります。何の条件もなく、ただ単に敷き引きしているときは、住宅の場合は非課税売上、テナントの場合は課税売上となります。

ただし、住宅の敷き引きの場合でも、敷き引きした敷金を原状回復費用に充てると契約書で謳っている場合場合は、もちろん課税売上となります。

 

消費税について、知っておきたい豆知識をまとめていますので、ぜひご覧ください。

【まとめ】消費税について知っておきたい豆知識