賃貸している不動産を売ったら消費税のみなし仕入率は60%(第四種事業)

2018年9月12日

消費税の課税売上高が5,000万円以下の場合、消費税簡易課税制度の適用を受けることができます。

消費税は原則、売上の消費税から仕入の消費税を控除して計算します。消費税簡易課税制度とは、消費税の計算を売上だけで行う方法です。売上の数値を確定し、その売上に「みなし仕入れ率」を乗じて仕入の消費税を計算します。みなし仕入率は下記の通りです。

事業区分みなし仕入率該当する事業
第一種事業90%卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。
第二種事業80%小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)をいいます。
第三種事業70%農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除く。
第四種事業60%第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業など。
なお、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業とななる。
第五種事業50%運輸通信業、金融・保険業(注)、サービス業(飲食店業に該当する事業を除く。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除く。
第六種事業40%不動産業

 

消費税簡易課税制度ですが、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から「不動産業」のみなし仕入率は50%の第五種事業から40%の第六種事業に縮減されることになりました。

不動産業の賃貸収入は第六種事業に分類されるわけですが、賃貸していた不動産を売却した場合はみなし仕入率60%の第四種事業として仕入税額控除税額を計算できます。

通常、ある会社が建築した不動産を購入して、そのまま他の会社に売却した場合は卸売業の第一種事業としてみなし仕入率90%として仕入税額控除を計算することができる。会社ではなく一般消費者に売却した場合は小売業としてみなし仕入率80%として仕入税額控除を計算します。

消費税法基本通達に下記のような取り扱いが記載されています。

消費税法基本通達13-2-9 (固定資産等の売却収入の事業区分)

事業者が自己において使用していた固定資産等の譲渡を行う事業は、第四種事業に該当するのであるから留意する。

固定資産を売却する場合に「事業者が自己において使用していた固定資産等の譲渡」であれば、不動産賃貸業者が所有していた不動産の売却金額は、上記の通達にあてはまるため第四種事業に分類してよいことになります。

販売用の品物でなく自己所有の物品を処分する場合は第一種事業あるいは第二種事業ではなく第四種事業に該当することを忘れないようにしないとですね。

 

消費税について、知っておきたい豆知識をまとめていますので、ぜひご覧ください。

【まとめ】消費税について知っておきたい豆知識