請負契約書と委任契約書には印紙税がかかるのでしょう?

2020年7月5日

印紙税法は、たかだか24条までしかなく、そんなに難しいものではないような気もしますが、結構、気を付けなければならない点も多いです。

例えば、領収書の記載金額が50,000円以上であれば200円の印紙を貼付しなければなりませんが、税込みで52,499円であれば元金と消費税の金額を記載すれば印紙を貼る必要はありません。消費税は記載金額に含めなくてもよいわけです。

50,000円をちょっと超えた領収書に印紙が貼付されているのを見るたびに、「税金を無駄に払っているなぁ」と思います。

身近な印紙税ですが、今回は「請負契約」と「委任契約」について印紙税の対象となるか考えてみようと思います。

印紙税の課税文書である「請負契約書」

建物を建築する場合や会社間で物品の売買を行う場合など、日常生活での様々な場面で「請負契約書」が交わされます。

印紙税法において、「請負契約書」は「領収書」とならび課税文書として代表的なものです。

その「請負契約書」ですが、内容によっては「物品の譲渡に関する契約書」であって課税の対象とならないものもあります。

例えば、ある会社が「パソコン100台」の注文を受け、注文請書を作成し、その記載内容が「パソコン100台を×月〇日に納品する」というような請負契約書である場合、この契約書は「注文書」と同じように非課税文書となります。

ところが、「パソコン100台を×月〇日に納品。設置まで含む。」という風に、物品の譲渡だけとは判断できない場合は「請負契約書」となり印紙税が課税対象となります。

あと気を付けないといけないのが基本契約書がなく「注文書」と「注文請書」を作成する場合です。課税文書の「注文書」を作成した上に「注文請書」まで作成すると、その両方が課税文書になってしまいます。

この事態を避けるため、注文書に「注文を引き受ける場合は、請書の提出をお願いします。」と記載すると「注文請書」だけが課税文書となります。

請負と売買の違いは、当事者が仕事の完成に重きを置いているか、またはただ単に目的物の所有権移転に重きを置いているかにより判断されます。不必要な文言を入れてしまい、「売買契約書」でなく「請負契約書」とならないように気を付ける必要があります。

請負に関する契約書の例

印紙税基本通達では「請負にかんする契約書」として下記が規定されています。

第2号文書

請負に関する契約書

(請負の意義)

1 「請負」とは、民法第632条《請負》に規定する請負をいい、完成すべき仕事の結果の有形、無形を問わない。
なお、同法第648条の2《成果等に対する報酬》に規定する委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約する契約は「請負」には該当しないことに留意する。(平18課消3-36、令2課消4-16改正)

(請負に関する契約書と物品又は不動産の譲渡に関する契約書との判別)

2 いわゆる製作物供給契約書のように、請負に関する契約書と物品の譲渡に関する契約書又は不動産の譲渡に関する契約書との判別が明確にできないものについては、契約当事者の意思が仕事の完成に重きをおいているか、物品又は不動産の譲渡に重きをおいているかによって、そのいずれであるかを判別するものとする。
なお、その具体的な取扱いは、おおむね次に掲げるところによる。(昭59間消3-24改正)

(1) 注文者の指示に基づき一定の仕様又は規格等に従い、製作者の労務により工作物を建設することを内容とするもの 請負に関する契約書

(例) 家屋の建築、道路の建設、橋りょうの架設

(2) 製作者が工作物をあらかじめ一定の規格で統一し、これにそれぞれの価格を付して注文を受け、当該規格に従い工作物を建設し、供給することを内容とするもの 不動産又は物品の譲渡に関する契約書

(例) 建売り住宅の供給(不動産の譲渡に関する契約書)

(3) 注文者が材料の全部又は主要部分を提供(有償であると無償であるとを問わない。)し、製作者がこれによって一定物品を製作することを内容とするもの 請負に関する契約書

(例) 生地提供の洋服仕立て、材料支給による物品の製作

(4) 製作者の材料を用いて注文者の設計又は指示した規格等に従い一定物品を製作することを内容とするもの 請負に関する契約書

(例) 船舶、車両、機械、家具等の製作、洋服等の仕立て

(5) あらかじめ一定の規格で統一された物品を、注文に応じ製作者の材料を用いて製作し、供給することを内容とするもの 物品の譲渡に関する契約書

(例) カタログ又は見本による機械、家具等の製作

(6) 一定の物品を一定の場所に取り付けることにより所有権を移転することを内容とするもの 請負に関する契約書

(例) 大型機械の取付け
ただし、取付行為が簡単であって、特別の技術を要しないもの 物品の譲渡に関する契約書

(例) 家庭用電気器具の取付け

(7) 修理又は加工することを内容とするもの 請負に関する契約書

(例) 建物、機械の修繕、塗装、物品の加工

委任契約書は印紙税が非課税

請負に関する契約書は課税文書となり、委任契約書は不課税となっています。「請負」と「委任」を区別するポイントは「一定の成果に対して対価を支払う約定が附されているかどうか」にあります。

たとえば、会社が税理士と「年間を通じて帳簿、決算書をみてもらう」という契約であれば委任契約になります。これが「年間を通じて帳簿、決算書をみてもらった上で、確定申告書作成してもらう」となると、申告書作成という「仕事の成果」に対し報酬を支払うことになるので請負契約書となり、課税文書に該当します。

契約書には大体、金額を記載することになるので、必然的に請負契約書になるでしょうが、場合によっては委任契約となり不課税となることも頭に入れておいた方がよいでしょう。

印紙税の取り扱いについてまとめていますので、ぜひ、ご覧ください。

http://sunsunlife.s1005.xrea.com/2018/09/12/post-739/