印紙税における「営業に関する受取書」とは

2018年9月12日

印紙税が非課税となる「金銭又は有価証券の受取書」は下記が3つが挙げられます。

①記載金額が5万円以下のもの

②営業に関しないもの

③有価証券等に追記されたもの

営業に関するものか、そうでないものの判断は受取書の作成者の立場で判断されます。

そもそも、「営業」とはどういうものなのでしょうか?

「営業」とは営利目的で事業を反復継続して行うことを指します。営利法人である会社が発行する受取書は、すべて営業に関するものに該当します。一方でサラリーマンが土地や建物を売ったりした場合に不動産会社などに代金の受取書を発行しても、その受取書に印紙を貼付する必要はありません。

このほかにも、医師、公認会計士、弁護士、税理士等の作成する受取書や公益法人の作成する受取書、人格のない社団などで公益及び会員間の親睦などの非営利事業を目的とする団体の作成する受取書は「営業」に該当しないものとして非課税になります。

たとえば、会社が厚生施設を作り、その運営を社員の親睦団体に委ねている場合、その団体が利用者に交付する受取書は非課税となります。

非課税の受取書としては印紙税法基本通達17号文書21~27号に掲げられています。

21.利益金又は剰余金の分配をすることができる法人

印紙税法別表1で17号文書の非課税文書として「会社以外の法人で、法令の規定又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができることとなっているもの」で下記の法人が記載されています。

(1) 貸家組合、貸家組合連合会
(2) 貸室組合、貸室組合連合会
(3) 事業協同組合、事業協同組合連合会
(4) 事業協同小組合、事業協同小組合連合会
(5) 火災共済協同組合、火災共済協同組合連合会
(6) 信用協同組合、信用協同組合連合会
(7) 企業組合
(8) 協業組合
(9) 塩業組合
(10) 消費生活協同組合、消費生活協同組合連合会
(11) 農林中央金庫
(12) 信用金庫、信用金庫連合会
(13) 労働金庫、労働金庫連合会
(14) 商店街振興組合、商店街振興組合連合会
(15) 船主相互保険組合
(16) 輸出水産業協同組合
(17) 漁業協同組合、漁業協同組合連合会
(18) 漁業生産組合
(19) 水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会
(20) 共済水産業協同組合連合会
(21) 森林組合、森林組合連合会
(22) 蚕糸組合
(23) 農業協同組合、農業協同組合連合会
(24) 農事組合法人
(25) 貿易連合
(26) 相互会社
(27) 輸出組合(出資のあるものに限る。以下同じ。)、輸入組合
(28) 商工組合、商工組合連合会
(29) 生活衛生同業組合、生活衛生同業組合連合会

22.公益法人が作成する受取書

公益法人が作成する受取書は、収益事業に関して作成するものであっても、営業に関しない受取書に該当します。

23.人格のない社団の作成する受取書

公益及び会員相互間の親睦等の非営利事業を目的とする人格のない社団が作成する受取書は、営業に関しない受取書に該当するものとし、その他の人格のない社団が収益事業に関して作成する受取書は、営業に関しない受取書に該当しないものとします。

24.農業従事者等が作成する受取書

店舗その他これらに類する設備を有しない農業、林業又は漁業に従事する者が、自己の生産物の販売に関して作成する受取書は、営業に関しない受取書に該当します。

25.医師等の作成する受取書

医師、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、保健師、助産師、看護師、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、獣医師等がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書として取り扱います。

26.弁護士等の作成する受取書

弁護士、弁理士、公認会計士、計理士、司法書士、行政書士、税理士、中小企業診断士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士、設計士、海事代理士、技術士、社会保険労務士等がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書として取り扱います。

27.法人組織の病院等が作成する受取書

営利法人組織の病院等又は営利法人の経営する病院等が作成する受取書は、営業に関しない受取書に該当しません。

 

法人税では親睦団体のほとんどが会社の事業の一部と判断されてしまいますが、印紙税では経理が区分されている場合、営業に関しないものとして非課税とされるようです。

 

印紙税の取り扱いについてまとめていますので、ぜひ、ご覧ください。

【まとめ】印紙税法の取り扱いで知っておきたい事