税務会計のミチシルベ

不動産経営したときの貸家建付地と貸家の評価とは

資産運用のひとつとしてアパート経営がよく取り上げられますが、税制面でも多くの特典があります。アパートの敷地については相続税の評価では、下記のふたつの評価減があります。

①貸家建付地の評価減(財産評価基本通達26)

②貸付事業用宅地の評価減(租税特別措置法第69条の4)

相続税を計算するときには財産評価をするのですが、土地は路線価方式あるいは倍率方式で評価します。評価した土地の価格を上記の①、②の順番で評価減します。

①の評価減の方法は、借地権割合×借家権割合を控除する方法です。仮に借地権割合が70%で借家権割合が30%であれば、100%-(70%×30%)=79%となります。

さらに①の評価減に加えて②の評価減があるわけですが、②は最高200平米まで50%の評価減が作用し、79%×50%=39.5%の評価になります。

ここで問題になるのが、①の貸家建付地評価減がどこまで適用されるかですが、あくまでもアパート経営に利用している敷地に限られます。

例えば、アパート入居者にだけ隣接する駐車場を貸している場合は、駐車場部分も①の貸家建付地の評価減が適用できます。入居者以外にも貸している場合には適用できないので注意が必要です。

それから、アパート自体も評価減の適用があります。

建物の評価は固定資産税評価額に倍率をかけて計算しますが、その倍率は1.0となっています。そして、賃貸している場合は借家権割合を控除して計算します。先ほども出てきましたが、借家権割合は現在、全国一律30%となっており、100%-30%=70%で建物は評価されます。

仮に土地、建物がそれぞれ1億円、合計2億円の評価だった場合、上記のケースで計算すると下記のようになります。

土地=10,000万円×39.5%=3,950万円

建物=10,000万円×70%=7,000万円

合計1憶950万円

「アパート経営すると相続対策になりますよ」と税理士や不動産業者が口を揃えて言うのはこういう理由があるからです。

ちなみに、現金を持っているよりかは建物にした方が良いともいわれますが、それは建物の評価額は固定資産評価額を使って計算するわけですが、その固定試算表額は建築価格のおおむね7割程度になるからです。

ただし、平成30年度の税制改正で貸付事業用の評価減の特例に制限が加わり、平成30年4月1日以降は、貸付事業を開始してから3年間は、この評価減が使えなくなっています。相続対策になると言って飛びつかないようにしましょう。

相続対策を考えている方は、ぜひ知っておきたい土地、建物の評価減の仕組みですね。

モバイルバージョンを終了