税務会計のミチシルベ

交通違反の反則金を会社で負担した場合の課税関係

道路交通法の改正により、酒酔い運転など悪質・危険な運転をした場合の罰則が強化されています。以前は酒気帯び運転の罰則が3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金だったものが3年以下の懲役又は50万円以下の罰金になっており、かなりの厳罰化が実施されています。

 

ところで、酒気帯び運転などの悪質運転はさておき、社員が業務で車を使用しているときの交通違反罰則金は当然車を運転している社員個人に対して科せられます。

 

とはいうものの、駐車違反などは日常的に起こりえるものであり、都心や繁華街などでは駐車場の不足で路上駐車もやむを得ない場合も少なくありません。こういう業務中の駐車違反などを犯した社員の反則金を会社が負担した場合の課税関係はどうなるのでしょうか?

 

本来社員個人が負担すべき反則金を会社が肩代わりしているので、給与課税の問題が発生しそうですが、この点については社内規定などで会社持ちを定めている場合、給与課税は発生しません。

 

それでは法人が肩代わりした個人の反則金の取り扱いは、法人税法上でどのように取り扱われるのでしょうか?

 

法人に直接科せられた罰金や過料はどんな理由でも損金には算入されません。不法行為に対して科せられた罰金や過料の損金算入を認めると、その分だけ税額が少なくなるので、罰則が結果的に軽くなってしまうからです。

(不正行為等に係る費用等の損金不算入)

法人税法第55条第4項

内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料

したがって、社員の業務に起因する罰金や交通反則金を会社が負担した場合も、使用者の責任によるものとして、実質的には法人の罰金等であるという考え方から、法人自体に罰金・過料が課せられた場合と同様に損金不算入として取り扱われます。

法人税法基本通達

(役員等に対する罰科金等)
9-5-8 法人がその役員又は使用人に対して課された罰金若しくは科料、過料又は交通反則金を負担した場合において、その罰金等が法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課されたものであるときは法人の損金の額に算入しないものとし、その他のものであるときはその役員又は使用人に対する給与とする。(平21年課法2-5「八」により追加)

 

もちろん、業務に関係ない罰金・過料を社員の代わりに会社が負担した場合には、その社員に対する給与なり、給与課税されます。支給された給与は臨時的な給与となるため、仮に役員に支給した場合には、所得税が課税された上に役員賞与として法人税法上では損金不算入とされます。

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