会社における同じ役員でも執行役員と執行役の法人税法の取扱い

2018年8月3日

会社法402条には「指名委員会等設置会社には、一人又は二人以上の執行役を置かなければならない」という定めがあります。この定めに対応する形で法人税法の定義の中で役員が明記されています。

法人税法第2条第1項15号

役員 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。

ところで、企業において「役員」という名称の付く役職に「執行役員」というものもあります。そもそも「執行役員」とは、「会社の業務執行を担当する役員」とされているのですが、これは企業における役職の一つであって会社法で定めらているものではありません。執行役員は、一般的には企業に雇用された状態のいわゆる「社員」であり、これが「役員」との大きな違いです。

「役員」は会社の重要事項や方針などを決定する権限を持っており、「執行役員」にはそれらの決定権限はなく、「取締役会の決定に基づいて業務の執行に専念する」役割を担っており、具体的には特定の部門などのトップとしての権限を与えられ、責任を持ってその業務を遂行するわけです。

「執行役」及び「執行役員」も取締役会で選任され、その監督のもと常務執行を行うという点では同じですが、税務上「執行役員」は役員には当てはまりません。

「執行役」は業務遂行の決定権限と委員会等設置会社の業務執行権限が与えられ、取締役に近い義務も負わされます。したがって、執行役は会社の機関と権限としての位置づけから見てみると、法人税法上も会社の取締役と同じ役員ということになります。

役員と付くということだけで「執行役員」を役員としないように注意してください。

参考までに役員に関するタックスアンサーを転記します。

No.5200 役員の範囲
役員とは次の者をいいます。

1 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人
2 1以外の者で次のいずれかに当たるもの
(1) 法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)以外の者でその法人の経営に従事しているもの
なお、「使用人以外の者で、その法人の経営に従事しているもの」には、例えば、[1]取締役又は理事となっていない総裁、副総裁、会長、副会長、理事長、副理事長、組合長等、[2]合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員、[3]人格のない社団等の代表者又は管理人、又は[4]法定役員ではないが、法人が定款等において役員として定めている者のほか、[5]相談役、顧問などで、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものも含まれます。
(2) 同族会社の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)のうち、次に掲げる全ての要件を満たす者で、その会社の経営に従事しているもの
イ その会社の株主グループ(注1)をその所有割合(注2)の大きいものから順に並べた場合に、その使用人が所有割合50%を超える第一順位の株主グループに属しているか、又は第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50%を超える場合のこれらの株主グループに属しているか、あるいは第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50%を超える場合のこれらの株主グループに属していること。
口 その使用人の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること。
ハ その使用人(その配偶者及びこれらの者の所有割合が50%を超える場合における他の会社を含みます。)の所有割合が5%を超えていること。
(注1) 「株主グループ」とは、その会社の一の株主等及びその株主等と親族関係など特殊な関係のある個人や法人をいいます。
(注2) 「所有割合」とは、次に掲げる場合に応じて、それぞれ次に掲げる割合をいいます。
(1) その会社がその株主等の有する株式又は出資の数又は金額による判定により同族会社に該当する場合
その株主グループの有する株式の数又は出資の金額の合計額がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除きます。)の総数又は総額のうちに占める割合
(2) その会社が一定の議決権による判定により同族会社に該当することとなる場合
その株主グループの有する議決権の数がその会社の議決権の総数(議決権を行使することができない株主等が有するその議決権を除きます。)のうちに占める割合
(3) その会社が社員又は業務執行社員の数による判定により同族会社に該当する場合
その株主グループに属する社員又は業務執行社員の数がその会社の社員又は業務執行社員の総数のうちに占める割合
(法法2、法令7、71、法基通9-2-1)