喫茶店や小売店などは季節の変わり目などに店内の模様替えをするところもあります。この模様替えにかかった費用は資本的支出になることが多いです。そこで問題となるのが耐用年数です。
模様替えをしたときは、建物そのものにしたときは建物の資本的支出となるのが原則ですが、賃借建物についてはその賃借期間とされる場合や見積もりによる場合もあります。
小売店などの場合は壁板の取替や陳列棚、壁面の飾り棚などへの造作が多く、これは建物付属設備の「店用簡易設備」の3年の耐用年数を適用すればよいでしょう。
また、「店用簡易設備」に該当するのは、旅館や製品展示室などに設置する簡易な造作で、おおむね3年ぐらいの期間で取り替えられるものを含みます。
それから、簡易設備と同じ耐用年数で「可動間仕切り 簡易なもの」がありますが、部屋の一部を仕切って会議室や応接室に使う場合に適用されるもので、いつでも撤去、付設が簡単にできるものです。これは、事務所などといった制限がありません。
自己所有の建物に内部造作を行ったときは原則的に建物の耐用年数が適用されるわけですが、それでは賃借建物に内部造作を行ったときはどうなるのでしょうか?
耐用年数の適用等に関する取扱通達1−1−3
(他人の建物に対する造作の耐用年数)
法人が建物を貸借し自己の用に供するため造作した場合(現に使用している用途を他の用途に変えるために造作した場合を含む。)の造作に要した金額は、当該造作が、建物についてされたときは、当該建物の耐用年数、その造作の種類、用途、使用材質等を勘案して、合理的に見積った耐用年数により、建物附属設備についてされたときは、建物附属設備の耐用年数により償却する。ただし、当該建物について賃借期間の定めがあるもの(賃借期間の更新のできないものに限る。)で、かつ、有益費の請求又は買取請求をすることができないものについては、当該賃借期間を耐用年数として償却することができる。(昭46年直法4−11「1」により改正)
(注) 同一の建物(一の区画ごとに用途を異にしている場合には、同一の用途に属する部分)についてした造作は、そのすべてを一の資産として償却をするのであるから、その耐用年数は、その造作全部を総合して見積ることに留意する。
通達では合理的に見積もることが出来る旨が記載されています。例を挙げて説明します。
項目 | 金額 | 資産区分 | 建物耐用年数 | 定額法償却率 | 償却額 |
軽鉄工事 | 3,000,000 | 建物 | 22 | 0.046 | 138,000 |
木工工事 | 5,000,000 | 建物 | 22 | 0.046 | 230,000 |
金物工事 | 1,000,000 | 建物 | 10 | 0.100 | 100,000 |
合計 | 9,000,000 | 468,000 |
*金物工事の耐用年数は「前掲のもの以外のもの その他もの」を適用
見積もり耐用年数=9,000,000円÷468,000円=19.23→19年
一年未満の端数は切り捨てますので19年が耐用年数となります。