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所得拡大促進税制では使用人兼務役員の給与は計算から除外

給与が増えた場合に、一定割合を税額控除できる制度が所得拡大促進税制です。

制度が適用できるかどうかは、基準年度の給与と比較して適用年度の給与が増えていること、前年の給与より適用年度の給与が増えていること、前年と比較して平均給与が増えていることなどの要件があります。

今回は所得拡大促進税制を適用する場合の注意点のひとつを解説します。

所得拡大促進税制では使用人兼務役員の給与は計算から除外される

所得拡大促進税制における雇用者給与等支給額を計算する際には使用人兼務役員の給与は計算から除外しなければなりません。

役員報酬と使用人給与を区分している場合には使用人部分だけが所得拡大促進税制における比較給与の計算に加えられると勘違いされているかもしれませんが、それは間違いです。

使用人であり、国内の事業所に勤務していること、そして労働基準法第108条に定める賃金台帳に記載されていることが必要です。

それから、期中に役員になった者や退任した者の取り扱いはどうなるのでしょうか?

それぞれ退職と入社で取り扱われます。役員になった場合は退職したとみなされ、退職時までの給与は所得拡大促進税制の計算に反映されます。逆に役員を退任し一般社員になった場合は新入社員として取り扱われ、比較平均給与等支給額の計算から除外されます。

所得拡大促進税制における使用人給与の取り扱いの条文

租税特別措置法第42条の12の5

2 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国内雇用者 法人の使用人(当該法人の役員(法人税法第二条第十五号に規定する役員をいう。以下この号において同じ。)と政令で定める特殊の関係のある者及び当該法人の使用人としての職務を有する役員を除く。)のうち当該法人の有する国内の事業所に勤務する雇用者として政令で定めるものに該当するものをいう。

九 比較平均給与等支給額 前事業年度等の継続雇用者に対する給与等の支給額として政令で定める金額を前事業年度等の当該継続雇用者に対する給与等の支給額に係る給与等支給者数として政令で定める数で除して計算した金額をいう。

租税特別措置法施行令第27条の12の5

法第四十二条の十二の五第二項第一号に規定する政令で定めるものは、当該法人の国内に所在する事業所につき作成された労働基準法第百八条に規定する賃金台帳に記載された者とする。

 

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