税務会計のミチシルベ

ソフトウェアライセンスの使用台数の計算

平成12年の税制改正で、平成12年(2000年)4月1日以降に取得するソフトウェアは繰延資産ではなく無形減価償却資産に計上することになりました。この変更により、ソフトウェアのライセンス契約におけるライセンス料の処理方法も変わりました。

そこで、今回はライセンス契約における経理処理について解説します。

まとめて購入したライセンス費用は1台当たりで計算する

例えば、あるソフトウェアを100台のパソコンにインストールして使用するため200万円のライセンス料を支払ったとします。

このようなライセンス契約では、税制改正によりソフトウェアが減価償却資産となったことでソフトウェアについても少額減価償却資産として通常取引される単位である1単位、つまりパソコン1台につきソフトウェアの使用許諾権をひとつ取得したものとして考えることが出来るようになりました。

したがって、上記の場合は1台当たりのソフトウェア取得価額は2万円(200万円÷100台)で10万円未満の少額の減価償却資産となり、支払った金額200万円をすべて損金算入することが出来ます。

法人税法基本通達7-1-11
(少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定)
令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》又は令第133条の2《一括償却資産の損金算入》の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては一の工事等ごとに判定する。

法人税法施行令第133条

(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)
内国法人がその事業の用に供した減価償却資産(第四十八条第一項第六号及び第四十八条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるものを除く。)で、前条第一号に規定する使用可能期間が一年未満であるもの又は取得価額(第五十四条第一項各号(減価償却資産の取得価額)の規定により計算した価額をいう。次条第一項において同じ。)が十万円未満であるものを有する場合において、その内国法人が当該資産の当該取得価額に相当する金額につきその事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

それでは、インストールできるパソコンの台数に制限がなく、何台でも利用可能な場合はどのようになるのでしょうか?

こういう場合は実際にインストールするパソコンの台数あるいは所有しているパソコンの台数を証明できたとしても、契約で使用許諾権の対象となる台数が明示されていないため、少額の減価償却資産として取り扱うことは基本的にはできません。

ソフトウェアをパソコンに何台でもインストール可能ということは、ソフトウェアの使用許諾権の取得ではなく譲渡とみなすことができます。譲渡されたのであれば使用台数で按分するという考え方が認められないわけです。ソフトウェアを少額の減価償却資産として処理するためには、何台のパソコンで使用するかあらかじめ明確にして契約する必要がありますのでご注意ください。

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