損害賠償金と消費税の課税関係

2018年10月11日

取引先とトラブルが発生して、和解金として損害賠償金を受け取ることもあるでしょう。

税法上は収入(益金)として処理するわけですが、この損害賠償金には消費税は課税されるのでしょうか?

損害賠償金は消費税の課税対象外

損害賠償金は消費税法において「資産の譲渡等に係る対価」には該当せず、不課税とされています。

例えば、取引先の会社と長期契約を結んでいたが、業績不振のため当期限りで契約を打ち切られ、損害賠償金として契約にのっとって金銭を受け取った場合、これは逸失利益の補償金とみなされ、課税の対象とはならずに不課税として取り扱われます。

ただし、損害賠償金といえど場合によっては課税として取り扱われます。

例えば、取引先の運送会社が当社の商品を輸送している際に事故により破損してしまった場合、その商品が運送会社に引き渡される際に商品の価値が全くなく、そのまま廃棄されるようなときは不課税になります。そのまま又は簡単な修理をするだけで使用することが出来る場合は「資産の譲渡等に係る対価」とみなされ、課税の対象となります。

それから、事務所などのテナントのトラブルで、契約違反の入居者に対して本来の賃借料の3か月分に相当する額を受け取った場合。この違約金は損害賠償金として不課税に思われがちですが、賃借期間に応じて徴収されるので、賃借料の割増料金と考えられ、課税の対象になります。

損害賠償金に関する消費税関連の条文

消費税法基本通達5-2-5(損害賠償金)

損害賠償金のうち、心身又は資産につき加えられた損害の発生に伴い受けるものは、資産の譲渡等の対価に該当しないが、例えば、次に掲げる損害賠償金のように、その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。 

(1) 損害を受けた棚卸資産等が加害者(加害者に代わって損害賠償金を支払う者を含む。以下5-2-5において同じ。)に引き渡される場合で、当該棚卸資産等がそのまま又は軽微な修理を加えることにより使用できるときに当該加害者から当該棚卸資産等を所有する者が収受する損害賠償金

(2) 無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金

(3) 不動産等の明渡しの遅滞により加害者から賃貸人が収受する損害賠償金

 

消費税について、知っておきたい豆知識をまとめていますので、ぜひご覧ください。

【まとめ】消費税について知っておきたい豆知識