「探偵ガリレオ」は「東野圭吾 ガリレオシリーズ」の第一弾です。
1996年から1998年にかけて「オール読物」文藝春秋に掲載された第一章から第五章で構成されていて、1998年に単行本化されました。
2005年8月に文藝春秋より出版され、2008年8月には文春文庫より文庫化。
福山雅治主演のフジテレビ連続ドラマ「ガリレオ」として2007年10月から12月にかけて放送されました。
東野圭吾 作家紹介
1958年大阪生まれの日本を代表するミステリー作家。
1981年大阪府立大学電気工学科を卒業。
日本電装(現・デンソー)(株)に技術職として入社。
1985年に『放課後』で江戸川乱歩賞を受賞。
1986年に退社して作家に専念。
1999年『秘密』で日本推理作家協会賞を受賞。
2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。
代表的な作品に加賀恭一郎シリーズとガリレオシリーズがある。
今回ご紹介する作品
書籍情報
題名 | 探偵ガリレオ |
出版社 | 文藝春秋 |
発売 | 2002/2/10 |
ISBN | 4167110075 |
登場人物
メインキャスト
湯川学 | 主人公。現帝都大学物理学准教授で、理工学部物理学科第十三研究室に所属。帝都大学理工学部卒業。
物理学においては天才的な頭脳を持っており、さらに雑学的知識を有している。 |
草薙俊平 | 警視庁捜査一課所属警部補。帝都大学社会学部卒業。湯川とはかつて帝都大学バドミントン部での同期。 |
内海薫 | 女性刑事で正義感が強く、勝手に突っ走ってしまい、一人で悩みこむことも。 |
警視庁捜査一課
間宮慎太郎 | 捜査一課所属係長。草薙の上司。 |
小塚 | 草薙の同僚の若い刑事。 |
根岸 | 草薙の後輩刑事。 |
弓削 | 草薙の一年先輩の刑事。 |
牧田 | 草薙の後輩刑事。 |
岸谷 | 草薙と同じ班の若手刑事。 |
小田 | 草薙の同僚。 |
牧村 | 草薙と同じ班の刑事。 |
木村課長 | 湯川が気が合うと発言していて、論理的に考える人物。 |
あらすじ
第一章・燃える(もえる)
「花屋通り」と呼ばれる人通りの少ない通りで、局所的な火災が発生し、たむろしていた若者が焼死する事件が発生した。焼け跡から変形したポリタンクが見つかり、周辺でガソリン臭が確認されたことから、何らかの原因でポリタンクに火がついた考えられて捜査が始まるが、同じ現場に居てケガを負った連中が、被害者の後頭部から突然火が上がったと証言した。だが、火災が発生した原因については手がかりがつかめない。
マスコミのプラズマ説を検証するため、草薙は大学時代の友人、湯川の元を訪ねた。現場を再び訪れたところ、一人の少女に出会う。その子は事件当日、「赤い糸が見えて、それを探していた」と話したのだった。その少女の言葉に興味を持った湯川は、ある工場に目をつけるのだった。
前島一之 | 時田製作所勤務。 |
金森龍男 | 前島の親友。 |
山下良介 | 事件の被害者。 |
向井和彦 | 山下同様、事件現場にいた少年。 |
第二章・転写る(うつる)
中学生の姪の文化祭に出席した草薙は、そこで奇妙なものを目にした。それは「変なもの博物館」と称された陳列品の中に石膏で固めたデスマスクだった。胸騒ぎを覚えた草薙は、血相を変えこのマスクを見る女性に気付いた。話を聞くと、この夏に行方不明になったある女性の兄に酷似しているというのだ。デスマスクを作ったのは、この学校に通う生徒で、二人は偶然、自然公園にある池で拾ったアルミ製のマスクでデスマスクを作ることを思いついたのであった。
ほどなくして、この池からマスクの顔の主である男性の他殺体が発見された。しかし、どうして現場にマスクがあったのか、どのように作られたのかは解明できない。そこで草薙は人体発火事件を解決に導いた友人の物理学者・湯川を訪ねた。湯川は実際に池を訪れ、ある自然現象によってマスクが作られたと考え、その一方で、警察は容疑者らしい人物をリストアップするものの、その人物には被害者が失踪した日に海外旅行に出かけているというアリバイが・・・。
柿本進一 | 歯科医。事件の被害者。 |
柿本昌代 | 進一の妻。 |
柿本良子 | 進一の実妹。保険会社勤務。 |
小野田宏美 | 良子の学生時代からの友人。中学の音楽教師。 |
山辺昭彦
藤本孝夫 |
中学校の生徒。 |
笹岡寛久 | パソコン棚卸販売会社勤務。 |
第三章・壊死る(くさる)
スーパーマーケットの経営者が浴槽に浸かっ状態で死亡しているのが、その息子によって発見された。死体の胸には奇妙な痣が出来ており、解剖の結果、痣になっている部分は細胞が完全に壊死していた。死亡した人物から薬物は検出されず、感電死してできる痣でもなかった。捜査一課は死因を特定できず、手が出せない状況に陥った。草薙は手がかりをつかめないまま湯川の下を訪れ、この人物が行きつけだったクラブに足を運び、お気に入りだったホステスに目をつけた。
このホステスは、死亡した人物から多額の借金を肩代わりする見返りに同居を迫られていたのだった。この状況から逃れたいと考えていた彼女は、同僚の男性に冗談で殺人の依頼を持ちかけた。最初は困惑してその場を去った彼だったが、その後に電話で「絶対に病死にしか見えず、仮に他殺だと分かってもその手段が分からない。世界で前例のない」殺害方法を女に提案するのだった。
内藤聡美 | クラブ「キュリアス」のホステス。昼間は東西電機埼玉工場勤務。 |
田上昇一 | 聡美の同僚。 |
高崎邦夫 | 被害者。スーパーマーケット経営者。 |
高崎紀之 | 邦夫の息子。死体の第一発見者。 |
河合亜佐美 | クラブ「キュリアス」の先輩ホステス。 |
橋本妙子 | 聡美の昼の仕事仲間。 |
第四章・爆ぜる(はぜる)
三鷹のアパートで男性が撲殺されているのが発見された。部屋から帝都大学理工学部脇にある駐車場の写真が見つかり、捜査を担当していた草薙は、そのまま第十三研究室を訪ねた。そこで湯川は、一週間前に湘南海岸で突然火柱が上がり、泳いでいた女性が爆死した事件について学生と議論を交わしていた。これは管轄の神奈川県警でも原因を特定できずに、捜査は難航していた。
一方で、草薙は殺害された男性が8月30日に大学を訪れ、教授の車を尋ねていたことを聞いた。また、被害者は1ヶ月前に勤めていた会社を突然辞めていたが、大学の人物からは有力な情報を得ることができず、捜査が暗礁に乗り上げようとしていたとき、草薙は被害者の部屋から海岸近くにある喫茶店のレシートを発見。それは女性の爆死事件当日のもので、この女性の経歴を調べているうちに、2つの事件につながりがあると考える。また、湯川も海岸に赴き、爆発の正体を突き止めようとする。しかし、事件はまだ続いていて、さらにもう一人の命が狙われようとしていた。
藤川雄一 | 殺害された被害者。帝都大学理工学部エネルギー工学科出身。 |
松田武久 | 帝都大学理工学部エネルギー工学科出身。第五研究室助手。 |
梅里律子 | 湘南海岸での爆発事件の被害者。 |
梅里尚彦 | 律子の夫。会社員。 |
横森 | 帝都大学理工学部エネルギー工学科第五研究室教授。 |
木島文夫 | 帝都大学理工学部教授。 |
第五章・離脱る(ぬける)
7月25日にマンションの一室で女性の絞殺体が発見された。検証を行った草薙は、現場にあった名刺から、被害者が殺害された22日に自宅を訪れたとされる男に話を聞くと、男は相手の希望で名刺に書かれていた前日に訪問し、事件があった当日は体調が悪く、川の近くに車を止めて休んでいたと答えた。しかし、被害者宅の近くに住む人物が、事件当日に男の乗っていた車を家の前で見たと証言する。男は容疑者として任意で聴取を受けることになる。それでも当日のアリバイを主張するが、目立たない場所に止めたようで、証人が現れない。この男が真犯人なのか、そんな空気が流れる中、一通の手紙が捜査一課に送られる。それは、手紙の差出人の息子が河原に止めてある男の車を見たというものだった。ただし、何とその方法が幽体離脱によるものだというのだった。手紙にはそのとき描かれたという絵も同封されていた。
事件当日、その少年は部屋で休んでいたが、突然体がふわふわして、部屋の外の景色をそのまま絵に描いていた。その不思議な絵を見た手紙の差出人は当日に仕事仲間にもこのことを話した。また、少年の部屋の前には工場の大扉があり、いつも閉まっている状態で通常は車が見える位置にはなかった。幽体離脱は本当に起こったのか。捜査一課が混乱する中、間宮係長の命令で草薙は湯川の元を訪ねるのだった。
長塚多恵子 | 被害者。 |
栗田信彦 | 保険会社の外交員。 |
上村宏 | フリーライター。 |
上村忠広 | 宏の息子。幽体離脱で絵を描いたとされる人物。 |
竹田幸恵 | 忠弘のクラスメートの母親。 |