スニーカーはマラソンやジョギングなどのために開発されたものです。
走る時の衝撃を吸収するので疲れにくいので、オフィスで働く女性の中には、通勤時にはスニーカー、会社内ではハイヒールという風に使い分けて履く人も多いです。
さて、今回はスニーカーの緩衝材にまつわる話で、革新的な緩衝材の開発秘話についてお話しします。
αGEL(アルファゲル)のヒントは娘が父に投げつけたアイスノン
スニーカーを履いていると足が疲れにくいのは、靴底に衝撃吸収用の緩衝材が入っているからです。
その緩衝材ですが、1984年に株式会社タイカが革新的なものを開発しました。
その名も多機能素材αGEL(アルファゲル)。
シリコーンを主原料とした柔らかいゲル状の素材です。
スポーツ用品やペン、パソコン、携帯電話、デジタルカメラから産業機器など多岐に渡って使われています。
開発者の中西幹育さんは、当時、半導体時代の到来を見据え、衝撃や振動に弱い物のための緩衝材が絶対必要になると考え、その素材を探し続けました。
中西さんは来る日も来る日も緩衝材のことだけを考えて過ごしますが、なかなかアイデアが浮かびません。先の見えない生活をしていると、中西さんはとうとう熱を出して寝込んでしまったです。
熱が下がらず、頭の下にアイスノンを置いて寝ていました。
朝、娘が薬を持って来てくれたとき、中西さんはぬるくなったアイスノンを新しいものと取り替えてくれと言わんばかりに、娘さんに向かって投げつけてしまいました。
すると、怒った娘さんは受け取ったアイスノンを中西さんに投げ付けたのでした。
一瞬、ムカッとした中西さんでしたが、アイスノンが当たってもの痛くなく、ぬるくなったアイスノンはフニャフニャで、衝撃を吸収してしまったことに気付いたわけです。
それからは、寒天、ゼリー、ムースやプリン、こんにゃくなど様々なものを買っては、高さ18メートルから卵を落とす実験を繰り返し、もっとも結果が良かったのがいちごゼリーだったのです。
そんな過程を経て開発された半固体であるゲル状の素材はαGEL(アルファゲル)と名付けられ、緩衝材のほかに人工筋肉や乳がんの方への代用乳房などに使われているそうです。