税務会計のミチシルベ

卒業後に勤務することを条件に支給した奨学金の課税関係

在学中の学費に充てる目的で、卒業後の勤務を条件として奨学金を貸与するケースはよくある話です。

そして、一定期間勤務すれば貸与した奨学金を全額免除するといった取り扱いもよく行われています。

こういう場合の奨学金の課税関係はどうなるのでしょうか?

雇用を条件とする奨学金は給与課税

学資金には非課税となるものがあり、それは給与その他対価の性質を有しないものです。

所得税法9条

(非課税所得)

次に掲げる所得については、所得税を課さない。

十五 学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品
イ 法人である使用者から当該法人の役員(法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員をいう。ロにおいて同じ。)の学資に充てるため給付する場合
ロ 法人である使用者から当該法人の使用人(当該法人の役員を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者の学資に充てるため給付する場合
ハ 個人である使用者から当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族(当該個人と生計を一にする者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
ニ 個人である使用者から当該個人の使用人(当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者(当該個人と生計を一にする当該個人の配偶者その他の親族に該当する者を除く。)の学資に充てるため給付する場合

将来の雇用を条件として支給するものは、給与その他対価の性質を持っていると考えられるので、非課税の学資金には該当しません。

一定期間の勤務によって奨学金の返済を免除されるものは、返済の免除時に給与課税されます。

所得税法基本通達 36-15

(経済的利益)

法第36条第1項かっこ内に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」(以下36-50までにおいて「経済的利益」という。)には、次に掲げるような利益が含まれる。

(3) 金銭の貸付け又は提供を無利息又は通常の利率よりも低い利率で受けた場合における通常の利率により計算した利息の額又はその通常の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額に相当する利益

(5) 買掛金その他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額又は自己の債務を他人が負担した場合における当該負担した金額に相当する利益

無利息で貸し付けた場合には、通常の利率で計算した金額が課税されます。

雇用前の利息を免除した場合は雑所得、雇用してからの利息分の免除は給与所得となります。

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