税務会計のミチシルベ

開業費はいつまでに償却すればいい?

事業を始める前までに支出した経費は繰延資産の開業費として集計・計上してから償却します。

この開業費、いつまでに償却すればよいのでしょうか?

開業費はいつでも償却可能

開業費は法人税法上では「会社を設立してから事業を始めるまでに支出した経費」の事を言います。

法人税法施行令第14条第1項2号

開業費(法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)

打ち合わせのための交際費や接待費、印鑑や名刺、DMなどの作成費用や広告費用などは開業費として計上できますが、開業するために特別に支出する必要のない経費である通信費や家賃などは開業費としては計上できないので注意が必要です。

特に備品などの購入費用は資産として計上する必要があります。

その他の経常的に発生する経費は、開業費としてではなく販売管理費などで処理できるので特に問題はないと思われます。

さて、繰延資産として計上した開業費は、どのように償却すればよいのでしょうか?

法人税法上における開業費の償却は限度額が定められているだけなので、任意償却が可能です。

法人税法施行令第64条第1項1号

第十四条第一項第一号から第五号まで(繰延資産の範囲)に掲げる繰延資産 その繰延資産の額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの(当該繰延資産が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人から引継ぎを受けたものである場合にあつては、これらの法人の各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されたものを含む。)がある場合には、当該金額を控除した金額)

当初から黒字の会社は少ないと思うので、利益が出たら償却するのがよいかもしれませんね。

ちなみに個人の開業費については、所得税法で任意償却と5年の均等償却が認められています。

所得税法第50条

居住者のその年十二月三十一日における繰延資産につきその償却費として第三十七条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その繰延資産に係る支出の効果の及ぶ期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とする。
2 前項に定めるもののほか、繰延資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。

所得税法施行令第137条

法第五十条第一項(繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる繰延資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 第七条第一項第一号又は第二号(繰延資産の範囲)に掲げる繰延資産 その繰延資産の額を六十で除し、これにその年において不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行つていた期間の月数(その年がその繰延資産となる費用を支出した日の属する年である場合には、同日から当該業務を行つていた期間の末日までの期間の月数)を乗じて計算した金額(当該計算した金額が、その繰延資産の額のうち既にこの項の規定により不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入された金額以外の金額を超える場合には、当該金額。次号において同じ。)
二 第七条第一項第三号に掲げる繰延資産 その繰延資産の額をその繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間の月数で除し、これに前号に規定する業務を行つていた期間の月数を乗じて計算した金額
2 前項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
3 居住者が、第一項第一号に掲げる繰延資産につきその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額として、当該繰延資産の額の範囲内の金額をその年分の確定申告書に記載した場合には、同号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、当該金額として記載された金額とする。

モバイルバージョンを終了