税務会計のミチシルベ

非事業用資産の減価償却は?

非事業用資産を譲渡したり、あるいは事業用資産として転用する場合には減価償却費を計算して取得原価を算出しなければなりません。

どういう計算をすればよいのでしょうか?

日事業用資産の耐用年数は法定耐用年数の1.5倍

非事業用資産の減価償却費は、各所得の計算上では必要経費とはしませんが、 譲渡所得の計算に当たり取得費を算出する場合、あるいは、それまで個人で使っていた 資産(非事業用資産)を事業用に転用する場合、事業の用に供した時点の未償 却残高の計算に利用します。

計算は以下の算式となります。

減価の額(既に償却費として必要経費に算入されたものとされる金額)

=(取得価額-残存価額10%)×耐用年数(法定耐用年数を1.5倍した年数、1年未満切捨て) の旧定額法償却率  

例えば、平成27年4月に200万円で乗用車(耐用年数6年)を購入し、家事用 として使っていたものを、平成29年4月に個人事業を開業するに当たって、事 業用に使用し始めた場合の転用時の未償却残高は下記の通りです。

2,000,000-{(2,000,000-200,000)×0.111(9年旧定額法償却率)×2}=1,600,400

注意しなければならない点があって、非事業用資産の減価償却費の計算方法は、平 成19年に減価償却制度が改正されたのですが、改正前の旧定額法によって計算することです。

関係法令は下記の通りです。

所得税法施行令第85条

(非事業用資産の減価の額の計算)

法第三十八条第二項(譲渡所得の基因となる資産の減価の額)に規定する資産の同項第二号に掲げる期間に係る減価の額は、当該資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額につき、当該資産と同種の減価償却資産に係る第百二十九条(減価償却資産の耐用年数等)に規定する耐用年数に一・五を乗じて計算した年数により第百二十条第一項第一号イ(1)(減価償却資産の償却の方法)に規定する旧定額法に準じて計算した金額に、当該資産の当該期間に係る年数を乗じて計算した金額とする。この場合において、当該資産と同種の減価償却資産が第百三十四条第一項第一号イ又はハ(減価償却資産の償却累積額による償却費の特例)に掲げる減価償却資産に該当する場合には、当該計算した金額は、当該同種の減価償却資産の同号イ又はハに掲げる区分に応じ当該イ又はハに定める金額を限度とする。
2 前項の場合において、次の各号に掲げる年数に一年未満の端数があるときの処理については、当該各号に定めるところによる。
一 前項に規定する一・五を乗じて計算した年数 一年未満の端数は、切り捨てる。
二 前項に規定する期間に係る年数 六月以上の端数は一年とし、六月に満たない端数は切り捨てる。

所得税法施行令第135条

(非事業用資産を業務の用に供した場合の償却費の計算の特例)

居住者がその有する家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産で不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供していないものを当該業務の用に供した場合(次条の規定に該当する場合を除く。)には、当該業務の用に供した後における当該資産の償却費の額は、当該業務の用に供した日に当該資産の譲渡があつたものとみなして法第三十八条第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定を適用した場合に当該資産の取得費とされる金額に相当する金額を同日における当該資産の償却後の価額として計算するものとし、当該資産の第百二十六条(減価償却資産の取得価額)及び第百二十七条第二項(資本的支出の取得価額の特例)の規定に準じて計算した取得価額と当該償却後の価額との差額に相当する金額は、第百三十四条(減価償却資産の償却累積額による償却費の特例)及び前条の規定の適用については、当該資産の償却費としてその者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入された金額とみなすものとする。

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