消費税の経理については税込経理と税抜経理があります。
決算書上の金額を消費税込の金額で処理するのが税込経理です。
税込経理に対して税抜経理というのは、決算書上の金額は消費税抜の金額で表示します。
経理方式の違いでどういう処理の違いがあるかというと、税込経理の場合は期末で消費税の納付額を計算して租税公課として納めます。
税抜経理は売上に対する消費税は仮受消費税、仕入に対する消費税は仮払消費税で処理し、期末に仮受消費税から仮払消費税を引いた差額を納めます。
ところで、消費税は売上金額が1,000万円以上であれば納めなければなりませんが、消費税を納める義務のない免税事業者は税抜経理を選択することは出来るのでしょうか?
免税事業者は税込経理が求められる
消費税の経理処理は税込経理か税込経理が選択できることになっています。
ただし、免税事業者は税込経理で処理しなけらばならないことになっています。
「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」より抜粋
(税抜経理方式と税込経理方式の選択適用)
3 法人税の課税所得金額の計算に当たり、法人が行う取引に係る消費税等の経理処理については、税抜経理方式又は税込経理方式のいずれの方式によることとしても差し支えないが、法人の選択した方式は、当該法人の行うすべての取引について適用するものとする。ただし、法人が売上げ等の収益に係る取引につき税抜経理方式を適用している場合には、固定資産、繰延資産及び棚卸資産(以下「固定資産等」という。)の取得に係る取引又は販売費、一般管理費等(以下「経費等」という。)の支出に係る取引のいずれかの取引について税込経理方式を選択適用できるほか、固定資産等のうち棚卸資産の取得に係る取引については、継続適用を条件として固定資産及び繰延資産と異なる方式を選択適用できるものとする。(平9年課法2-1により改正)(注)
1 個々の固定資産等又は個々の経費等ごとに異なる方式を適用することはできない。
2 売上げ等の収益に係る取引につき税込経理方式を適用している場合には、固定資産等の取得に係る取引及び経費等に係る取引については税抜経理方式を適用することはできない。
3 消費税と地方消費税について異なる方式を適用することはできない。
(免税事業者等の消費税等の処理)
5 法人税の課税所得金額の計算に当たり、消費税の納税義務が免除されている法人については、その行う取引に係る消費税等の処理につき、3((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))にかかわらず、税込経理方式によるのであるから留意する。(平9年課法2-1により改正)(注)
1 この取扱いは、消費税が課されないこととされている資産の譲渡等のみを行う法人についても適用がある。
2 これらの法人が行う取引に係る消費税等の額は、益金の額若しくは損金の額又は資産の取得価額等に算入されることになる。
そもそも、免税事業者で税抜経理をすると必要のない仮払消費税と仮受消費税が発生します。
そして、期末には仮払消費税と仮受消費税を清算しなければなりません。
しなくてもよい計算をしなければならないので、免税事業者が税抜経理をする合理的な理由は見当たりません。
ただし、消費税が課税されない仕入がある場合の原価率を正確に計算するためには必要かもしれませんが、ほとんどが課税仕入である場合の原価率は差異がありません。
売上 108円(税込)
売上原価 54円(税込)
原価率 54円÷108円=50%
売上 100円(税抜)
売上原価 50円(税抜)
原価率 50÷100円=50%
消費税の免税事業者は以下のように取り扱いましょう。
・免税事業者は税抜経理を選択できない。
・免税事業者は税抜経理を選択する意味がない。
・免税事業者が税抜経理を選択すると余計な計算をしなければならない。