所得税法で納税義務者である居住者とは?

所得税法では居住者に納税義務がある旨が定められています。

所得税法 第5条

居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。

引用元:所得税法

それでは、居住者とはどういう定義がなされているのでしょうか?

居住者の定義

所得税法において、居住者は第2条に定義されています。

所得税法 第2条

(定義)

三 居住者 国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。

四 非永住者 居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去十年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が五年以下である個人をいう。

五 非居住者 居住者以外の個人をいう。

引用元:所得税法

所得税法第2条第1項第3号にいう住所は基本通達で下記のように規定されています。

所得税法基本通達 2-1

(住所の意義)

法に規定する住所とは各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する。

(注) 国の内外にわたって居住地が異動する者の住所が国内にあるかどうかの判定に当たっては、令第14条《国内に住所を有する者と推定する場合》及び第15条《国内に住所を有しない者と推定する場合》の規定があることに留意する。

引用元:国税庁ホームページ

「生活の本拠」となっているだけで、住民票がある場所というような条件などはなく、生活状況にもとづいてけっていすることになります。

注意書きの所得税法施行令は下記の通り。

所得税法施行令 第14条

(国内に住所を有する者と推定する場合)

国内に居住することとなつた個人が次の各号のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有する者と推定する。
一 その者が国内において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。
二 その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実があること。
2 前項の規定により国内に住所を有する者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の扶養する親族が国内に居住する場合には、これらの者も国内に住所を有する者と推定する。

所得税法施行令 第15条

(国内に住所を有しない者と推定する場合)

第十五条 国外に居住することとなつた個人が次の各号のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有しない者と推定する。
一 その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。
二 その者が外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと。
2 前項の規定により国内に住所を有しない者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の扶養する親族が国外に居住する場合には、これらの者も国内に住所を有しない者と推定する。

引用元:所得税法施行令

居住者と判断する基準として、下記のような点が考慮されることになります。

1.滞在日数

2.生活場所や生活の状況

3.職業や業務の内容・従事状況

4.生計を一にする親族の居住地

5.資産の所在地

6.生活に関する各種届出状況等

仮に海外に移住したとしても、日本の会社の代表取締役を務めていて、生活を共にする配偶者や子供が日本にいる場合は、給料は日本の会社から出るでしょうし、「生活の本拠」は日本にあると推定され、非居住者とならない可能性が高いです。

参考までに、シンガポールに年間183日以上滞在すると日本の非居住者となるそうなのですが、日本法人から役員報酬を受け取っている場合は、シンガポールとの租税条約により日本で所得税が課税されるようになっています。

「非居住者だから所得税がかからない」と判断するのではなく、租税条約まで確認する必要がありますね。