税務会計のミチシルベ

資産の取得の単位は?一体としてみる?

備品などを購入したときに、品目ごとにひとつの資産としてみるか、それとも全体を一体としてみるかで取得価額が変わってきます。

金額が10万円未満であれば消耗品などで経費として一時に処理できますし、10万円以上20万円未満であれば一括償却資産、中小企業であれば30万円未満は少額減価償却資産として処理が可能です。

そこで、具体的にどう取り扱えばよいのか調べてみました。

取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定する

法人税では、10万円未満の少額の減価償却資産を購入時に損金算入することを認めています。本来は、少額であっても資産として計上し、減価償却しなければなりませんが、すべてを資産計上して減価償却していくと事務処理が大変ですので、少額の資産は省いているわけです。

法人税法施行令第133条

(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)

内国法人がその事業の用に供した減価償却資産(第四十八条第一項第六号及び第四十八条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるものを除く。)で、前条第一号に規定する使用可能期間が一年未満であるもの又は取得価額(第五十四条第一項各号(減価償却資産の取得価額)の規定により計算した価額をいう。次条第一項において同じ。)が十万円未満であるものを有する場合において、その内国法人が当該資産の当該取得価額に相当する金額につきその事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

また、法人税基本通達で下記のような定めがあります。

法人税基本通達 7-1-11

(少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定)

令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》又は令第133条の2《一括償却資産の損金算入》の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては一の工事等ごとに判定する。(昭45年直審(法)58「2」、昭49年直法2-71「7」、平元年直法2-7「二」、平10年課法2-7「六」により改正)

法人税基本通達 7-1-12

(使用可能期間が1年未満の減価償却資産の範囲)

令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》の使用可能期間が1年未満である減価償却資産とは、法人の属する業種(例えば、紡績業、鉄鋼業、建設業等の業種)において種類等を同じくする減価償却資産の使用状況、補充状況等を勘案して一般的に消耗性のものとして認識されている減価償却資産で、その法人の平均的な使用状況、補充状況等からみてその使用可能期間が1年未満であるものをいう。この場合において、種類等を同じくする減価償却資産のうちに材質、型式、性能等が著しく異なるため、その使用状況、補充状況等も著しく異なるものがあるときは、当該材質、型式、性能等の異なるものごとに判定することができる。(昭49年直法2-71「8」により改正)

(注) 平均的な使用状況、補充状況等は、おおむね過去3年間の平均値を基準として判定する。

さらに、タックスアンサーでも取り扱いについて解説しています。

タックスアンサー No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示

[平成30年4月1日現在法令等]

法人が取得した減価償却資産のうち次のいずれかに該当するものについては、少額の減価償却資産となり、その法人がこの減価償却資産を事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する金額を損金経理した場合には、その損金経理をした金額は、損金の額に算入されます。

(1) 使用可能期間が1年未満のもの

 この場合の「使用可能期間が1年未満のもの」とは、法定耐用年数でみるのではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況、補充状況などからみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいいます。

 例えば、テレビ放映用のコマーシャルフィルムは、通常、減価償却資産として資産計上し、法定耐用年数2年で減価償却しますが、テレビ放映期間は1年未満であることが一般的です。したがって、テレビ放映の期間が1年未満のものは、「使用可能期間が1年未満のもの」に該当します。

(2) 取得価額が10万円未満のもの

 この取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
 例えば、応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。

 また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。

なお、少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理している場合に、損金の額に算入することができます。したがって、いったん資産に計上したものをその後の事業年度で一時に損金経理をしても損金の額に算入することはできませんのでご注意ください。

 また、取得価額が20万円未満の減価償却資産については、各事業年度ごとに、その全部又は一部の合計額を一括し、これを3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択することができます。

資産が単独で使えるかどうかが判断材料になるわけです。

例えば、デスクトップパソコン本体とモニター、そしてプリンターをまとめて購入したとします。

デスクトップパソコンはモニターがなければ使えません。したがって、パソコンとモニターは一体として資産として認識する必要があります。

プリンターに関しては、パソコンでの印刷機能しかない場合は、パソコン本体と一体として認識しなければならないでしょうが、最近では複合機タイプが増えており、コピー機能を使いたかったからと主張すれば、プリンタは個別の資産として認識可能でしょう。

細かいことを言い出せばきりがないですが、資産の取得単位は、単独あるいは全体として機能するかどうかで判断する必要があります。

 

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