税務会計のミチシルベ

消耗品の経費処理 税法上の消耗品って?

会社の決算の時、商品の棚卸しだけでなく消耗品の棚卸しを行う会社もあります。

商品の在庫は、正確な損益を計算し、前期以前との損益を比較するためには必要不可欠なものです。

商品に対して、消耗品に関しては、金額的にも大きくないので、購入したときに経費処理しても損益にはそれほど影響しません。

通常の会社では、何となく消耗品を購入時に経費処理しているかと思われますが、今回は消耗品の取り扱いについて考えてみたいと思います。

そもそも消耗品って?

会計上のおいて、消耗品は販売活動で消費される文房具や燃料などの物品を指します。

勘定科目としては消耗品や貯蔵品などが使われます。

会計処理では、下記の2つの方法があります。

1.購入時に消耗品費として処理し、期末に消耗品や貯蔵品としてする方法

2.購入時に消耗品や貯蔵品とし、使用時に消耗品費に振り替える方法

消耗品は、金額的にも少額で、会社の損益に与える影響も少ないので、耐用年数が1年未満のものは消耗品費として処理されます。

また、消耗品で耐用年数が1年を超えるものでも、取得価額が10万円未満の場合、税法(法人税法・所得税法)においては、少額減価償却資産として、取得した時に取得価額の全額を損金(必要経費)に算入することが認められています。

法人税法施行令 第133条

(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)

内国法人がその事業の用に供した減価償却資産(第四十八条第一項第六号及び第四十八条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるものを除く。)で、前条第一号に規定する使用可能期間が一年未満であるもの又は取得価額(第五十四条第一項各号(減価償却資産の取得価額)の規定により計算した価額をいう。次条第一項において同じ。)が十万円未満であるものを有する場合において、その内国法人が当該資産の当該取得価額に相当する金額につきその事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

所得税法施行令 第138条

(少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入)

居住者が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供した減価償却資産(第百二十条第一項第六号及び第百二十条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるものを除く。)で、第百八十一条第一号(資本的支出)に規定する使用可能期間が一年未満であるもの又は取得価額(第百二十六条第一項各号若しくは第二項(減価償却資産の取得価額)の規定により計算した価額をいう。次条第一項において同じ。)が十万円未満であるものについては、第四款(減価償却資産の償却)の規定にかかわらず、その取得価額に相当する金額を、その者のその業務の用に供した年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

また、棚卸資産に関しては企業会計基準において、下記のように記載されています。

企業会計基準第9号 棚卸資産の評価に関する会計基準

棚卸資産の範囲

28. これまで、棚卸資産の範囲は、原則として、連続意見書 第四に定める次の 4 項目のいずれかに該当する財貨又は用役であるとされている。

(1) 通常の営業過程において販売するために保有する財貨又は用役

(2) 販売を目的として現に製造中の財貨又は用役

(3) 販売目的の財貨又は用役を生産するために短期間に消費されるべき財貨

(4) 販売活動及び一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨

上記から解釈すると、消耗品の在庫も棚卸資産に該当するわけです。

ただし、商品に在庫があるものを何でも在庫管理するのも合理的でないので、重要性が乏しいものは取得時の経費処理が認められています。

会社計算規則

(資産の部の区分)

第七十四条

3  次の各号に掲げる資産は、当該各号に定めるものに属するものとする。
一  次に掲げる資産 流動資産

ヲ 消耗品、消耗工具、器具及び備品その他の貯蔵品であって、相当な価額以上のもの
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(流動資産の範囲)
第十五条  次に掲げる資産は、流動資産に属するものとする。

十  消耗品、消耗工具、器具及び備品その他の貯蔵品で相当価額以上のもの

企業会計原則注解

〔注1〕重要性の原則の適用について
企業会計は、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うべきものであるが、企業会計が目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも、正規の簿記の原則に従った処理として認められる。

重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。
(1) 消耗品、消耗工具器具備品その他の貯蔵品のうち、重要性の乏しいものについては、その買入時又は払出時に費用として処理する方法を採用することができる。

それから、税法通達では下記の定めがあります。

法人税基本通達 2-2-15

(消耗品費等)

消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)

(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

所得税基本通達37-30の3

(消耗品費等)

消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する年分の必要経費に算入するのであるが、その者が、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各年ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する年分の必要経費に算入している場合には、これを認める。(昭55直所3-19、直法6-8追加)

(注) この取扱いにより必要経費に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

期末になって、10万円未満の消耗品であれば何でも経費になると言って、大量に購入する方もいるでしょうが、あくまでも常識の範囲内でのものです。

事務用品や切手などは棚卸をしっかりするでしょうが、特に漏らしがちなのが燃料などのタンクがある場合です。ガソリンや重油など大量に在庫がある場合は、しっかり棚卸をしましょう。

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