税務会計のミチシルベ

インターンシップに参加する学生に対して日当を支払ったら?

最近の企業では、学生に職業体験(インターンシップ)に参加してもらい、入社してからの認識の違いを少なくして定着率を高めようとしています。

実際、就職してから3年経過したときの離職率は3割を超えていると言われており、人材不足の起用としてはなるべく長く勤めてもらうため苦心しています。

ところで、インターンシップに参加した学生に対して、企業によっては日当を払うケースもあるようです。

この場合の課税関係はどうなるのでしょうか?

インターンシップに対する日当は雑所得

インターンシップの学生は、労働の対価として金品が支払われた場合は別として、通常、受け入れた会社との間に雇用関係はなく、給与課税は生じません。

所得税法 第28条

(給与所得)

給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。

インターンシップに参加した学生に対して支給した金品は雑所得に該当します。

所得税法 第35条

(雑所得)

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。
2 雑所得の金額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。
一 その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額
二 その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額
3 前項に規定する公的年金等とは、次に掲げる年金をいう。
一 第三十一条第一号及び第二号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定に基づく年金その他同条第一号及び第二号に規定する制度に基づく年金(これに類する給付を含む。第三号において同じ。)で政令で定めるもの
二 恩給(一時恩給を除く。)及び過去の勤務に基づき使用者であつた者から支給される年金
三 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金(第三十一条第三号に規定する規約に基づいて拠出された掛金のうちにその年金が支給される同法第二十五条第一項(加入者)に規定する加入者(同項に規定する加入者であつた者を含む。)の負担した金額がある場合には、その年金の額からその負担した金額のうちその年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する年金として政令で定めるもの
4 第二項に規定する公的年金等控除額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。ただし、当該合計額が七十万円に満たないときは、七十万円とする。
一 五十万円
二 その年中の公的年金等の収入金額から前号に掲げる金額を控除した残額の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に掲げる金額
イ 当該残額が三百六十万円以下である場合 当該残額の百分の二十五に相当する金額
ロ 当該残額が三百六十万円を超え、七百二十万円以下である場合 九十万円と当該残額から三百六十万円を控除した金額の百分の十五に相当する金額との合計額
ハ 当該残額が七百二十万円を超える場合 百四十四万円と当該残額から七百二十万円を控除した金額の百分の五に相当する金額との合計額

それから、インターンシップに参加する学生に対して、会社は日当に加えて旅費や食事代を支給するケースが考えられますが、これらは経済的利益として雑所得に含めなければなりません。

所得税法基本通達36-15

(経済的利益)

法第36条第1項かっこ内に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」(以下36-50までにおいて「経済的利益」という。)には、次に掲げるような利益が含まれる。

(1) 物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合におけるその資産のその時における価額又はその価額とその対価の額との差額に相当する利益

(2) 土地、家屋その他の資産(金銭を除く。)の貸与を無償又は低い対価で受けた場合における通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益

(3) 金銭の貸付け又は提供を無利息又は通常の利率よりも低い利率で受けた場合における通常の利率により計算した利息の額又はその通常の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額に相当する利益

(4) (2)及び(3)以外の用役の提供を無償又は低い対価で受けた場合におけるその用役について通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益

(5) 買掛金その他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額又は自己の債務を他人が負担した場合における当該負担した金額に相当する利益

ただし、旅費は必要経費となり相殺されますので、実際には現金で支給される日当や食事代の合計金額が雑所得として課税されることになります。

また、アルバイトをする学生においては年末調整をした方で、下記に該当する場合は確定申告する場合は確定申告は不要です。

(1)給与が1箇所だけなら、雑所得などが20万円以下の人

(2)給与が2箇所以上なら、従たる給与と雑所得などの合計が20万円以下の人

何社もインターンに参加して、日当や食事代をたくさん支給してもらう場合は注意が必要です。

 

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