老朽化した設備を更新したり、雰囲気を変えるためにや部署の構成が変わったりしてオフィスの模様替えなどを行うなど、経営戦略に応じて設備投資が必要になることも度々あるのではないでしょうか?
そういった場合に、新たな設備を取得するためには既存の設備を撤去する必要があります。
その際に発生する撤去費用(解体費用)は、新規の設備の取得費として処理しなければならないのでしょうか?
それとも、発生したときの経費として処理できるのでしょうか?
撤去費用は既存の設備の撤去費用として費用処理可能
設備の撤去費用は、既存の設備を撤去するための費用であり、新しい設備を取得するための費用ではありません。
撤去費用を支出することで、新しい資産の価値が上がるわけではありませんし、既存設備の撤去費用であると考えられます。
根拠としては下記の通達があります。
法人税基本通達7-7-1
(取り壊した建物等の帳簿価額の損金算入)
法人がその有する建物、構築物等でまだ使用に耐え得るものを取り壊し新たにこれに代わる建物、構築物等を取得した場合(7-3-6《土地とともに取得した建物等の取壊し費等》に該当する場合を除く。)には、その取り壊した資産の取壊し直前の帳簿価額(取り壊した時における廃材等の見積額を除く。)は、その取り壊した日の属する事業年度の損金の額に算入する。(昭55年直法2-8「二十五」により改正)
ただし、上記の通達には帳簿価額のことは書かれていますが、解体費用のことが書かれていないので、ちょっと説得力に欠けます。
平成26年4月21日裁決の判例で、「システムキッチン及びユニットバスの取替えに要した費用」について争われた事例があります。
この判例を見てみると、内容としてはすべてを資本的支出として処理するように書かれているように見えますが、別表にある審判所認定額を見ると解体費用が修繕費として認定されていることがわかります。
インターネット上で撤去費用(解体費用)が発生時に経費処理できると解説している方が多いのは、この判例を根拠にしているのでしょう。
ただし、新しい設備を取得するには解体費用が不可欠であると課税庁に主張されると元も子もないような気がするのは私だけでしょうか?
法人税基本通達7-8-1
(資本的支出の例示)
法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。(昭55年直法2-8「二十六」により追加)
(1) 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額
(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額
(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
既存の設備を単に入れ替えるために支出する費用は支出した時に費用として処理することが可能だと思われますが、上記通達にもあるように「用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額」であるばあいには、注意が必要かもしれませんね。