法人成りのデメリット1 社会保険の強制加入による費用負担

2018年10月16日

個人事業でうまくいった方が直面する課題が法人成りするかどうかの選択です。

法人成りした場合のデメリットのひとつに社会保険の強制加入があります。

今回は法人成りのデメリットのシミュレーション

国民年金、国民健康保険、健康保険・厚生年金そして雇用保険・労災保険などをひとくくりにして社会保険ということがありますが、まず健康保険と厚生年金保険の話をします。

個人事業主では加入できなかった健康保険と厚生年金保険が加入できるようになるということでメリットがあるという人がいますが、費用負担で言えばデメリットであると言えます。

参考までに、私が住んでいる鹿児島県鹿児島市での国民健康保険・国民年金と健康保険料・厚生年金保険料を比較してみました。

800万円までの利益であれば健康保険・厚生年金の保険料が少なく、900万円で逆転しています。ただし、健康保険・厚生年金は会社負担があるので、可処分所得が減ってしまいます。

下記をご覧ください。可処分所得が逆転するのは、なんと2,600万円の時です。事業主個人だけで判断する場合、費用負担ではなく可処分所得で比較すると社会保険の強制加入はデメリットであると言えます。

また、個人事業であれば業種によっては5人未満であれば任意加入であった健康保険・厚生年金も、法人成りで強制加入となり会社負担が発生します。会社役員は対象になりませんが、従業員がいれば、労働保険(雇用保険・労災保険)も強制加入となります。

健康保険・厚生年金保険と労働保険を合わせて社会保険と総称しますが、両社で会社負担が人件費の15%程度発生します。100万円の給料を支払った場合、15万円程度の社会保険の会社負担が発生するわけです。

法人成りすることで事業主本人及び従業員の健康保険・厚生年金、従業員向けの労働保険も加入義務が発生します。その費用負担は非常に重く、法人成りした後に、「やっぱり個人に戻したい」と口にする経営者もいます。

法人成りすることで社会保険の加入による費用の他にも、経費がかさむことは事実です。メリットだけ重視せずにデメリットもしっかり理解してください。

 

法人税法の取り扱いについて、注意したい点について一覧にまとめていますので、もしろろしかったらご覧ください。

【まとめ】法人税について知っておきたい豆知識