消費税簡易課税制度で売上の事業区分をしていない場合の取り扱い
消費税法において、売上が5,000万円以下の中小企業者の特例として、簡易課税制度があります。(消費税法第37条)
売上を第1種から第6種の事業区分に分け、その区分した売上に事業区分に応じた「みなし仕入れ率」を掛けて仕入を計算するというものです。
通常は、一種類の事業区分で売上が発生するでしょうが、場合によっては売上が複数の事業区分で成り立つ場合もあります。
例えば、エアコンの販売です。
一般家庭にエアコンを販売しただけでは、使用できなので取付までするケースがほとんどです。
この場合、一括で請求した場合の売上の事業区分はどうなるのでしょうか?
売上を事業区分していない場合は一番低い事業区分となる
エアコンの販売について、事業区分は第2種、取付工賃は第3種あるいは第5種に区分されます。
材料が多ければ第3種でしょうが、ほとんどが手間賃である場合は第5種の取り扱いとなるようです。
参考までに、自動車修理業は第5種に分類されるようです。
さて、エアコンの代金を請求する場合に、エアコン本体と取付代を区分して請求している場合はよいのですが、「一式」というように請求している場合は、全体が第3種あるいは第5種とみなされます。
消費税法施行令 第57条第4項
第一項各号に掲げる事業又は第四種事業のうち二以上の事業を営む事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等で、当該課税資産の譲渡等につきこれらの事業の種類ごとの区分をしていないものがある場合における前二項の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 第一種事業と第二種事業とを営む事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等で、第一種事業に係るものであるか第二種事業に係るものであるかの区分をしていないものがある場合には、当該区分をしていない課税資産の譲渡等は、第二種事業に係るものとする。
二 第一種事業又は第二種事業と第三種事業とを営む事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等で、第一種事業又は第二種事業に係るものであるか第三種事業に係るものであるかの区分をしていないものがある場合には、当該区分をしていない課税資産の譲渡等は、第三種事業に係るものとする。
三 第一種事業、第二種事業又は第三種事業と第四種事業とを営む事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等で、第一種事業、第二種事業又は第三種事業に係るものであるか第四種事業に係るものであるかの区分をしていないものがある場合には、当該区分をしていない課税資産の譲渡等は、第四種事業に係るものとする。
四 第一種事業、第二種事業、第三種事業又は第四種事業と第五種事業とを営む事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等で、第一種事業、第二種事業、第三種事業又は第四種事業に係るものであるか第五種事業に係るものであるかの区分をしていないものがある場合には、当該区分をしていない課税資産の譲渡等は、第五種事業に係るものとする。
五 第六種事業と第六種事業以外の事業とを営む事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等で、第六種事業に係るものであるか第六種事業以外の事業に係るものであるかの区分をしていないものがある場合には、当該区分をしていない課税資産の譲渡等は、第六種事業に係るものとする。
税務調査の際、否認されて消費税が増えないよう、日頃から注意して消費税の事業区分を分けるようにしましょう。