財務諸表論 理論暗記9 退職給付に関する会計基準
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目 的
1. 本会計基準は、退職給付に関する会計処理及び開示を定めることを目的とする。
2. 本会計基準の適用にあたっては、企業会計基準適用指針第 1 号「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」及び企業会計基準適用指針第 25 号「退職給付に関する会計基準の適用指針」も参照する必要がある。
会計基準
範 囲
3. 本会計基準は、一定の期間にわたり[ ? ]したこと等の事由に基づいて、[ ? ]に支給される給付(退職給付)の会計処理に適用する。
ただし、株主総会の決議又は指名委員会等設置会社における報酬委員会の決定が必要となる、取締役、会計参与、監査役及び執行役(以下合わせて「役員」という。)の退職慰労金については、本会計基準の適用範囲には含めない。
用語の定義
4. 「確定拠出制度」とは、一定の掛金を外部に積み立て、事業主である企業が、当該掛金以外に退職給付に係る追加的な拠出義務を負わない退職給付制度をいう。
5. 「確定給付制度」とは、確定拠出制度以外の退職給付制度をいう。
6. 「退職給付債務」とは、退職給付のうち、認識時点までに発生していると認められる部分を割り引いたものをいう。
7. 「年金資産」とは、特定の退職給付制度のために、その制度について企業と従業員との契約(退職金規程等)等に基づき積み立てられた、次のすべてを満たす特定の資産をいう。
(1) 退職給付以外に使用できないこと
(2) 事業主及び事業主の債権者から法的に分離されていること
(3) 積立超過分を除き、事業主への返還、事業主からの解約・目的外の払出し等が禁止されていること
(4) 資産を事業主の資産と交換できないこと
8. 「勤務費用」とは、1 期間の[ ? ]として[ ? ]したと認められる退職給付をいう。
9. 「利息費用」とは、[ ? ]により算定された[ ? ]時点における[ ? ]について、期末までの時の経過により発生する計算上の利息をいう。
10. 「期待運用収益」とは、[ ? ]により生じると合理的に期待される計算上の収益をいう。
11. 「数理計算上の差異」とは、[ ? ]の[ ? ]と[ ? ]との差異、[ ? ]の数理計算に用いた[ ? ]と[ ? ]との差異及び[ ? ]等により発生した差異をいう。なお、このうち当期純利益を構成する項目として費用処理(費用の減額処理又は費用を超過して減額した場合の利益処理を含む。以下同じ。)されていないものを「未認識数理計算上の差異」という(第 24 項参照)。
12. 「過去勤務費用」とは、[ ? ]等に起因して発生した退職給付債務の増加又は減少部分をいう。なお、このうち当期純利益を構成する項目として費用処理されていないものを「未認識過去勤務費用」という(第 25 項参照)。
確定給付制度の会計処理
貸借対照表
13. [ ? ](第 16 項参照)から[ ? ]の額(第 22 項参照)を控除した額(以下「積立状況を示す額」という。)を負債として計上する。
ただし、[ ? ]の額が[ ? ]を超える場合には、資産として計上する(注1)。
損益計算書及び包括利益計算書(又は損益及び包括利益計算書)
14. 次の項目の当期に係る額は、退職給付費用として、当期純利益を構成する項目に含めて計上する(注2)。
(1) 勤務費用(第 17 項参照)
(2) 利息費用(第 21 項参照)
(3) 期待運用収益(第 23 項参照)
(4) 数理計算上の差異に係る当期の費用処理額(第 24 項参照)
(5) 過去勤務費用に係る当期の費用処理額(第 25 項参照)
15. [ ? ]の当期発生額及び[ ? ]の当期発生額のうち、費用処理されない部分(未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用となる。)については、[ ? ]に含めて計上する。[ ? ]に計上されている[ ? ]及び[ ? ]のうち、当期に費用処理された部分については、その他の包括利益の調整([ ? ])を行う(第 24 項また書き及び第 25 項また書き参照)。
退職給付債務及び勤務費用
(退職給付債務の計算)
16. 退職給付債務は、退職により見込まれる退職給付の総額(以下[ ? ]という。)のうち、期末までに[ ? ]していると認められる額を[ ? ]する(注3)。
(勤務費用の計算)
17. 勤務費用は、退職給付見込額のうち当期に発生したと認められる額を割り引いて計算する(注4)。
(退職給付見込額の見積り)
18. 退職給付見込額は、合理的に見込まれる退職給付の変動要因を考慮して見積る(注5)。
(退職給付見込額の期間帰属)
19. [ ? ]のうち期末までに[ ? ]したと認められる額は、次のいずれかの方法を選択適用して計算する。この場合、いったん採用した方法は、原則として、継続して適用しなければならない。
(1) 退職給付見込額について[ ? ]で[ ? ]を各期の発生額とする方法(以下[ ? ]という。)
(2) 退職給付制度の給付算定式に従って各勤務期間に帰属させた[ ? ]に基づき見積った額を、退職給付見込額の各期の発生額とする方法(以下[ ? ]という。)
なお、この方法による場合、勤務期間の後期における給付算定式に従った給付が、初期よりも著しく高い水準となるときには、当該期間の給付が均等に生じるとみなして補正した給付算定式に従わなければならない。
(割引率)
20. 退職給付債務の計算における[ ? ]は、[ ? ]を基礎として決定する(注6)。
21. 利息費用は、期首の退職給付債務に割引率を乗じて計算する。
年金資産
22. 年金資産の額は、期末における時価([ ? ])により計算する。
23. 期待運用収益は、期首の年金資産の額に合理的に期待される収益率(長期期待運用収益率)を乗じて計算する。
数理計算上の差異
24. 数理計算上の差異は、原則として各期の発生額について、予想される退職時から現在までの平均的な期間(以下[ ? ]という。)以内の一定の年数で按分した額を毎期費用処理する(注7)(注8)。
また、当期に発生した未認識数理計算上の差異は税効果を調整の上、[ ? ]を通じて[ ? ]に計上する(第 27 項参照)。
過去勤務費用
25. 過去勤務費用は、原則として各期の発生額について、[ ? ]以内の一定の年数で按分した額を毎期費用処理する(注9)(注10)。
また、当期に発生した未認識過去勤務費用は税効果を調整の上、[ ? ]を通じて[ ? ]に計上する(第 27 項参照)。
小規模企業等における簡便な方法
26. 従業員数が比較的少ない小規模な企業等において、高い信頼性をもって数理計算上の見積りを行うことが困難である場合又は退職給付に係る財務諸表項目に重要性が乏しい場合には、期末の退職給付の要支給額を用いた見積計算を行う等の簡便な方法を用いて、退職給付に係る負債及び退職給付費用を計算することができる。
確定給付制度の開示
表 示
27. 積立状況を示す額(第 13 項参照)について、負債となる場合は「退職給付に係る負債」等の適当な科目をもって固定負債に計上し、資産となる場合は「退職給付に係る資産」等の適当な科目をもって固定資産に計上する。未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用については、税効果を調整の上、純資産の部におけるその他の包括利益累計額に「退職給付に係る調整累計額」等の適当な科目をもって計上する。
28. 退職給付費用(第 14 項参照)については、原則として売上原価又は販売費及び一般管理費に計上する。
ただし、新たに退職給付制度を採用したとき又は給付水準の重要な改訂を行ったときに発生する過去勤務費用を発生時に全額費用処理する場合などにおいて、その金額が重要であると認められるときには、当該金額を特別損益として計上することができる。
29. 当期に発生した未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用並びに当期に費用処理された組替調整額(第 15 項参照)については、その他の包括利益に「退職給付に係る調整額」等の適当な科目をもって、一括して計上する。
注記事項
30. 確定給付制度については、次の事項を連結財務諸表及び個別財務諸表に注記する。
なお、(2)から(11)について、連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表において記載することを要しない。
(1) 退職給付の会計処理基準に関する事項
(2) 企業の採用する確定給付制度の概要
(3) 退職給付債務の期首残高と期末残高の調整表
(4) 年金資産の期首残高と期末残高の調整表
(5) 退職給付債務及び年金資産と貸借対照表に計上された退職給付に係る負債及び資産の調整表
(6) 退職給付に関連する損益
(7) その他の包括利益に計上された数理計算上の差異及び過去勤務費用の内訳
(8) 貸借対照表のその他の包括利益累計額に計上された未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の内訳
(9) 年金資産に関する事項(年金資産の主な内訳を含む。)
(10) 数理計算上の計算基礎に関する事項
(11) その他の事項
確定拠出制度の会計処理
31. 確定拠出制度については、当該制度に基づく要拠出額をもって費用処理する。また、当該制度に基づく要拠出額をもって費用処理するため、未拠出の額は未払金として計上する。
確定拠出制度の開示
表 示
32. 前項の費用は、第 28 項の退職給付費用に含めて計上する。
注記事項
32-2.確定拠出制度については、次の事項を連結財務諸表及び個別財務諸表に注記する。
なお、連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表において記載することを要しない。
(1) 企業の採用する確定拠出制度の概要
(2) 確定拠出制度に係る退職給付費用の額
(3) その他の事項
複数事業主制度の会計処理及び開示
33. 複数の事業主により設立された確定給付型企業年金制度を採用している場合においては、次のように会計処理及び開示を行う。
(1) 合理的な基準により自社の負担に属する年金資産等の計算をした上で、第 13 項から第 30 項の確定給付制度の会計処理及び開示を行う。
(2) 自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができないときには、第 31 項、第 32 項及び第 32-2 項の確定拠出制度に準じた会計処理及び開示を行う。この場合、当該年金制度全体の直近の積立状況等についても注記する。
適用時期等
34. 平成 24 年に改正した本会計基準(以下「平成 24 年改正会計基準」という。)は、平成 25年4月 1日以後開始する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用する。ただし、平成 25 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の期首から適用することができる。
35. 退職給付債務及び勤務費用の定め(第 16 項から第 21 項参照)並びに特別損益における表示の定め(第 28 項ただし書き参照)については、第 34 項にかかわらず、平成26 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の期首から適用する。ただし、平成 26 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の期首からこれらの定めを適用することが実務上困難な場合には、次の注記を行うことを条件に、平成 27 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の期首か
ら適用することができる。
(1) 四半期財務諸表においては、当該定めを適用していない旨及びその理由
(2) 事業年度末に係る財務諸表においては、当該定めを適用していない旨、その理由並びに退職給付債務及び勤務費用の定め(第 16 項から第 21 項参照)に基づき算定した当該事業年度末の退職給付債務の概算額なお、平成 25 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の期首から適用することができる。
36. 第 34 項に従って平成 24 年改正会計基準を適用後、前項に掲げた定めを適用しない期間がある場合、当該期間については、企業会計審議会「退職給付に係る会計基準」(以下「平成 10 年会計基準」という。)における退職給付債務及び勤務費用に関する定め(同基準 二 2、三 2(1)及び(2))並びに特別損益における表示の定め(同基準 四 2)に従う。
37. 第 34 項及び第 35 項に従って平成 24 年改正会計基準を適用するにあたり、過去の期間の財務諸表に対しては遡及処理しない。平成 24 年改正会計基準の適用に伴って生じる会計方針の変更の影響額については、第 34 項の適用に伴うものは純資産の部における退職給付に係る調整累計額(その他の包括利益累計額)に、第 35 項の適用に伴うものは期首の利益剰余金に加減する。
38. 第 35 項に従って平成 24 年改正会計基準を適用するにあたっては、その適用前に第19 項(1)に定める期間定額基準を採用していた場合であっても、適用初年度の期首において、第 19 項(2)に定める給付算定式基準を選択することができる。
38-2. 平成 28 年に改正した本会計基準(以下「平成 28 年改正会計基準」という。)は、平成 29 年 1 月 1 日以後適用する。
(個別財務諸表における当面の取扱い)
39. 個別財務諸表上、所定の事項については、当面の間、次のように取り扱う。
(1) 第 13 項にかかわらず、個別貸借対照表上、[ ? ]に[ ? ]及び[ ? ]を加減した額から、[ ? ]を控除した額を負債として計上する。ただし、年金資産の額が退職給付債務に未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を加減した額を超える場合には、資産として計上す
る。
(2) 第 15 項、第 24 項また書き、第 25 項また書き、第 29 項及び第 30 項(7)(8)については適用しない。
(3) 第 27 項にかかわらず、個別貸借対照表に負債として計上される額(本項(1)参照)については[ ? ]の科目をもって固定負債に計上し、資産として計上される額(本項(1)参照)については[ ? ]等の適当な科目をもって固定資産に計上する。
(4) 連結財務諸表を作成する会社については、個別財務諸表において、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の貸借対照表における取扱いが連結財務諸表と異なる旨を注記する。
(5) 本会計基準等で使用されている「退職給付に係る負債」、「退職給付に係る資産」という用語(本会計基準の公表による他の会計基準等についての修正を含む。)は、個別財務諸表上は「退職給付引当金」、「前払年金費用」と読み替えるものとする。
(企業会計基準等の廃止)
40. 第 34 項の適用により、以下の企業会計基準及び企業会計基準適用指針は廃止する。
(1) 企業会計基準第 3 号「『退職給付に係る会計基準』の一部改正」(以下「企業会計基準第 3 号」という。)
(2) 企業会計基準第 14 号「『退職給付に係る会計基準』の一部改正(その 2)」(以下「企業会計基準第 14 号」という。)
(3) 企業会計基準適用指針第 7 号「『退職給付に係る会計基準』の一部改正に関する適用指針」また、第 35 項の適用により、企業会計基準第 19 号「『退職給付に係る会計基準』の一部改正(その 3)」(以下「企業会計基準第 19 号」という。)は廃止する。
41. 日本公認会計士協会においては、日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第 13 号「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」(以下「退職給付実務指針」という。)及び「退職給付会計に関する Q&A」などの廃止を検討されることが適当である。
財務諸表論 理論暗記 主要な会計基準