トラックに残っている燃料を期末に計上すべき?

運送会社によっては配送用のトラックを多数保有していて、トラックのタンクに残っている燃料を集計したら結構な金額になると思われます。

トラックを100台所有していたとして1台当たり50リットル燃料が入っていたとして、燃料の単価が100円/リットルだとします。

100台×50リットル×100円=500,000円

この50万円を貯蔵品として計上すべきかどうかが問題となります。

貯蔵品に計上しなくてもよい可能性あり

運送業者において、燃料代は運送関連の収入に対する売上原価の要素が強く、経費に占める割合は大きいです。

したがいまして、会社にスタンドを設置している場合には、そのスタンドに貯蔵されている燃料のほか、トラックの燃料タンクに残る軽油についても基本的には貯蔵品等として棚卸資産に準じた処理を行う必要があるのではないかと考えられます。

ただし、会社が日常業務に使用している車両の燃料タンクの残量について、毎年、同程度で推移していて、決算期末にまとめ買いなどをしていない場合には、消耗品として処理できる可能性があります。

法人税基本通達 2-2-15

(消耗品費等)

 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)

(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

ただ、この取扱いについては、注意書きにあるように「消耗品等の費用が製造費用としての性格を有する場合には製造原価に算入しなければならない」とされています。

さらに、法人税基本通達2-2-10では下記のように定められています。

法人税基本通達2-2-10

(運送収入に対応する原価の額)

運送業の運送収入に対応する原価の額は、当該運送収入の額を益金の額に算入する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が継続してその行う運送のために要する費用(海上運送のために要する費用のうち貨物費、燃料費、港費その他その運送のために直接要するものを除く。)の額をその支出の日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)

したがいまして、運送業の運送収入に対応する原価については、海上運送のために要する費用を除いては、会社が継続してその行う運送のために要する費用の額をその支出の日の属する事業年度の損金の額に算入している場合はこれを認めるとしているので、貯蔵品として計上する必要はないことになります。