相続税の第二の基礎控除「小規模宅地の特例」における「家なき子」とは?

相続税法

相続税の基礎控除の改正

平成27年1月1日から相続税の基礎控除額が引き下げられました。これまで5,000万円に1,000万円×相続人の数だったものが3,000万円に600万円×相続人の数になりました。相続税がかかる人が増えるため,第二の基礎控除といわれる「小規模宅地の特例」などを適用して相続税の申告をする人が増えているのではないでしょうか。

「小規模宅地の特例」は、要件に該当すれば居住用や事業用の土地が最高80%の評価減が受けられるというものです。居住用の場合330平米まで20%で評価されます。1億円の土地が2,000万円で評価されるのです。

もともと、生活の拠点となる居宅に課税するのはあまり良くないだろうということで創設された制度だと聞いたことがあります。

小規模宅地の特例は、生計を同じくしている親族はもちろんのこと、被相続人と同居していた者が被相続人の自宅を相続や遺贈で取得すれば対象となります。被相続人と同居していない者が取得した場合でも対象となる場合があります。それがいわゆる「家なき子」と呼ばれる人たちです。

「家なき子」とは

「家なき子」というのは、相続人が家を所有していたとしても相続開始前3年以内にその持ち家に住んでいなければよく、相続人である子だけでなく孫などが被相続人の自宅を取得しても「家なき子」に該当することになります。

「家なき子」のことは、「租税特別措置法 第69条の4の3の2ロ」に具体的に記載してあって、「親族が相続開始前3年以内に相続税法の施行地内にあるその者又はその者の配偶者が所有する家屋に居住したことがない者」などと規定されています。つまり家を所有していたとしても相続開始前3年以内にその家に住んだことがなければ「家なき子」に該当することになります。

租税特別措置法 第69条の4の3の2ロ

「租税特別措置法 第69条の4の3の2ロ」には下記のように記載されています。

1.相続開始の時において、被相続人が一時居住被相続人、非居住被相続人又は非居住外国人であり、かつ、取得者が一時居住者又は日本国籍及び日本国内に住所を有していない人ではないこと。
2.被相続人に配偶者がいないこと
3.被相続人に、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族でその被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)である人がいないこと
4.相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
5.その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

 

ここでいう「親族」というのは、被相続人の配偶者を除く親族を指し、被相続人の子だけでなく、孫や甥なども「家なき子」の対象にはなるのですが、財産を取得した場合、相続税額の2割加算が適用されるのは頭に入れておく必要があります。(相続税法18条 )。

例えば,相続人が所有する家を賃貸している場合,たとえ複数の家を所有していたとしても,そこに居住していない以上は要件を満たすことになります。

ただし、相続人が「家なき子」に該当するものとして小規模宅地特例の適用を受けるのは、被相続人が1人暮らしの場合に限られます。被相続人が生前,配偶者やその親族と同居していた場合、同居していた人が特例の優先者となり、「家なき子」としてはこの特例の適用を受けられないことになるので注意が必要です。

平成30年4月以降の新しい制限に注意

平成30年度税制改正によって小規模宅地等の特例に関する見直しが行われました。

改正の内容としては、まず一つ目に持ち家のない親族が取得する場合の特定居住用宅地等の適用要件に関する事項です。参考までに「配偶者」や「被相続人と同居していた親族」に関する特例適用要件も記載しておきます。

取得者取得者ごとの要件改正内容
配偶者要件なし改正なし
被相続人と
同居していた
親族
相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人改正なし
被相続人と
同居していない
親族
被相続人の配偶者又は相続開始の直前にお
いて被相続人と同居していた一定の親族がいない場合において、被相続人の親族で、相続開始前 3 年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有に係る家屋に居住したことがなく、かつ、相続開始の時から相続税の申告期限までその宅地等を有している人
次に掲げる者を除外することとされます。
・相続開始前3 年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
・相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

 

まとめると以下のいずれの要件にも該当するときが適用可能となります。

(1)配偶者と同居親族がいない場合の別居親族であること
(2)相続開始前3年以内に、自分または配偶者の持ち家に住んでいないこと
(3)同じく3年以内に、3親等内の親族や同族会社の家に住んでいないこと
(4)相続時点で住んでいる家は、過去は自分の所有物ではないこと

それから、貸付事業用宅地等の適用要件の見直しも行われました。貸付事業用宅地等とは、被相続人が貸付けの用に供していた宅地等を取得した親族が一定の要件を満たす場合には、限度面積(200㎡)の範囲内で宅地の評価額から50%相当額を減額することができるというものです。

特例の適用要件改正内容
その親族が、相続開始時から申告期限までの間にその宅地等に係る被相続人の貸付事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その貸付事業の用に供していること相続開始前3 年以内に貸付事業の用に供された宅地等を除外することとされます。(ただし、相続開始前3 年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものについては含まれません。)

 

相続対策のために急いで賃貸物件を建てたとしても、3年経っていたければ特例の適用が出来なくなったわけです。

もちろん、賃貸物件は評価額が低くなりますので、相続対策にはもってこいですが、小規模宅地の特例は3年経たないと適用できないことを認識しておく必要があります。

 

第二の基礎控除を言われる小規模宅地の特例。ぜひ活用して節税対策に役立てたいものですね。

相続税法
スポンサーリンク
sunsunlifeをフォローする
税務会計のミチシルベ

コメント