生命保険を利用した節税対策は意味がある?単なる課税の繰り延べ?保険で節税のウソ

2018年10月16日

「会社の節税のためには生命保険が一番」というのをよく聞きますが、本当なのでしょうか?

今回は、生命保険を利用した節税について検証してみました。

長期平準型生命保険は課税の繰り延べにすぎない

利益が毎年1億円出ている会社で、6年後に5,000万円の退職金を支払うこととします。

税率が30%とした場合、下記のようになります。

1年目2年目3年目4年目5年目6年目合計
利益10,00010,00010,00010,00010,0005,00055,000
法人税3,0003,0003,0003,0003,0001,50016,500

 

それでは、毎年保険料1,000万円を払った場合はどうなるでしょうか?

6年目に保険金が5,000万円返金されて、それを退職金5,000万円に使ったと仮定します。

1年目2年目3年目4年目5年目6年目合計
保険料1,0001,0001,0001,0001,0005,000
利益9,0009,0009,0009,0009,00010,00055,000
法人税2,7002,7002,7002,7002,7003,00016,500

いずれの場合もトータルの利益と法人税は同じことが分かったと思います。

節税というのは保険会社のセールストークなんですね。

今まで節税になるとお客様に説明していたのが恥ずかしいです。

単なる課税の繰り延べだったわけです。

資金繰りも悪くなりますし、急に資金が必要になって保険を解約した場合は、損する可能性もあります。

やっぱり保険はお守りみたいなものですね。

それから、保険の解約返戻金の推移を示す表には、「単純返戻率」と「実質返戻率」という2つの欄がありますが、必ず単純返戻率だけで判断するようにしてください。

「実質返戻率」は法人税の減額効果を織り込んだ数値と謳っているのですが、法人税は減っていないので、あの表記は嘘なんです。

単純返戻率が100%を超えるようなら、資産運用に保険をすすめても良いかもしれません。なかなかそんな保険はないと思いますが・・・。

今後はそういう説明をしてから保険を進めたいと思います。

保険に入るようだったら積極的な投資に回した方がよい気もします。

人材投資などよいかもしれんね。今は「所得拡大促進税制」というものがあります。

人件費が増えた場合に法人税の税額控除が受けられるのがこの制度です。

人件費を増やした場合、従業員のモチベーションが上がりますし、税金も少なくできるのです。

さて、法人保険は、本来の目的である「安心」と「効率的な資産運用」という側面から検討して、「節税」は違う方法で検討してみましょう。

 

法人税法の取り扱いについて、注意したい点について一覧にまとめていますので、もしろろしかったらご覧ください。

【まとめ】法人税について知っておきたい豆知識