印紙を消印するのは×ではダメ?
5万円以上の領収書には印紙を貼らなければなりません。
印紙を貼ったあとに印紙と領収書の境目に印鑑を押すのが通常の流れですが、×印を付けるケースもあるのではないでしょうか?
印紙を貼った後に印鑑を押す作業を消印というのですが、印鑑を押した瞬間に印紙税を納付したことになります。また、消印することで印紙の使い回しが出来なくなります。
ところで、印紙の消印は×印でもよいのでしょうか?
印紙の消印の定め
課税文書に印紙を貼る場合、印紙の消印をしなければなりません。
消印は印紙の再利用を防ぐための措置で、納付方法は印紙税法第8条、消印の方法は印紙税法施行令第5条に定められています。
印紙税法第8条(印紙による納付等)
課税文書の作成者は、次条から第十二条までの規定の適用を受ける場合を除き、当該課税文書に課されるべき印紙税に相当する金額の印紙(以下「相当印紙」という。)を、当該課税文書の作成の時までに、当該課税文書にはり付ける方法により、印紙税を納付しなければならない。
2 課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
印紙税法施行令第5条(印紙を消す方法)
課税文書の作成者は、法第八条第二項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。
印紙の消印方法
印章は契約当事者が押したものであることは要件とされていません。
氏名名称などを表示した日付印、役職名、名称などを表示したゴム印などのようなものでも差し支えありません。
署名は自筆でなければなりませんが、その表示は氏名のほか通称、商号のようなものかまいません。ただし、単に印を付けたり斜線を引いても、消印したことにはなりません。
消印時の注意点
通常の方法では消印を取り去ることが出来ないことを要件としており、例えば鉛筆で署名したもののように簡単に消し去ることができるものも消印したことにはなりません。
また、課税文書を作成した人すべてで消印する必要はなく、作成者の一人が代表して消印してかまいません。
印紙税法基本通達
(共同作成の場合の印紙の消印方法)
第64条 2以上の者が共同して作成した課税文書にはり付けた印紙を法第8条《印紙による納付等》第2項の規定により消す場合には、作成者のうちの一の者が消すこととしても差し支えない。
消印しなかった場合の罰則
ところで、印紙を消印しなかった場合はどうなるのでしょうか?
印紙税法第20条(印紙納付に係る不納税額があつた場合の過怠税の徴収)
3 第八条第一項の規定により印紙税を納付すべき課税文書の作成者が同条第二項の規定により印紙を消さなかつた場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収する。
つまり、消印していなかった印紙と同じ金額を過怠税として納付する必要があります。
印紙税は金額が高額になることはないとはいえ、日ごろから注意しておく必要がありますね。
印紙税の取り扱いについてまとめていますので、ぜひ、ご覧ください。