昇給した時にさかのぼって支給された差額分の給与の源泉徴収

2018年8月3日

4月に給与改訂される会社が多いと思いますが、6月に給与改訂されて4月分からの新旧給与の差額を6月にまとめて支給されたりする会社もあるでしょう。場合によっては4月改定で10月分までさかのぼって改訂する会社もあるようです。

こういう、さかのぼっての給与の改訂は公務員になどにみられるようですが、民間会社でも増えています。この場合、差額支給の給与の源泉徴収はどうなるのでしょうか。

所得税法基本通達に次のような規定があります。

(給与所得の収入金額の収入すべき時期)

36-9 給与所得の収入金額の収入すべき時期は、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭63直法6-1、直所3-1、平19課法9-1、課審4-11改正)

(1) 契約又は慣習その他株主総会の決議等により支給日が定められている給与等(次の(2)に掲げるものを除く。)についてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日

(2) 役員に対する賞与のうち、株主総会の決議等によりその算定の基礎となる利益に関する指標の数値が確定し支給金額が定められるものその他利益を基礎として支給金額が定められるものについては、その決議等があった日。ただし、その決議等が支給する金額の総額だけを定めるにとどまり、各人ごとの具体的な支給金額を定めていない場合には、各人ごとの支給金額が具体的に定められた日

(3) 給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧給与の差額に相当する給与等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日

(4) いわゆる認定賞与とされる給与等で、その支給日があらかじめ定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについては現実にその支給を受けた日(その日が明らかでない場合には、その支給が行われたと認められる事業年度の終了の日)

つまり、改訂によって生じた差額分を支給したときに源泉徴収されるわけで、差額分とベースアップ後の給与が同時に支給された場合は、その合計額で税額が計算されます。ベースアップが大きいときは、数か月分の差額ともなればかなりの金額になるケースもあるでしょう。

こういう場合は、差額分については賞与とみなして賞与の税額表を適用することも認められます。月額で源泉所得税を計算しても、賞与で計算しても、最終的には年末調整で清算されるので、支払う所得税は同じになるので、ご安心ください。