リース契約の割賦手数料は取得価額に含める?

2018年10月16日

「固定資産を割賦で買った場合の割賦手数料を取得価額に算入しなかった場合、繰延資産に該当するのでしょうか?」と聞かれることがありました。
質問の趣旨は「割賦手数料は、前払費用か?それとも繰延資産か?」ということと、「割賦手数料が20万円未満だと、一括で損金算入できるか?」ということですが、むぅと悩んでしまいました。

固定資産を購入した場合の付随費用は、原則取得価額に算入しますが、契約上本体の金額と割賦手数料が明確に区分されている場合には、下記の基本通達により割賦手数料は取得価額に算入しなくてもよいことになっています。

法人税法基本通達7−3−2(割賦購入資産等の取得価額に算入しないことができる利息相当部分)
割賦販売契約(延払条件付譲渡契約を含む。)によつて購入した固定資産の取得価額には、契約において購入代価と割賦期間分の利息及び売手側の代金回収のための費用等に相当する金額とが明らかに区分されている場合のその利息及び費用相当額を含めないことができる。

そのため割賦手数料を取得価額に算入しなかった場合、割賦手数料部分は長期前払費用などで計上し、割賦期間に応じて費用処理していくことになります。

ではこの長期前払費用、法人税的には繰延資産に該当するのでしょうか?それとも普通の前払費用なのでしょうか?
法人税法では、下記のようにそれぞれ規定されています。

☆繰延資産
法人税法施行令第14条 (繰延資産の範囲)
法第2条第24号 (繰延資産の意義) に規定する政令で定める費用は、法人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。) のうち次に掲げるものとする。
◆6  前各号に掲げるもののほか、次に掲げる費用で支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの

☆前払費用
2  前項に規定する前払費用とは、法人が一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出する費用のうち、その支出する日の属する事業年度終了の日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。

両方とも「支出する費用」ということで、支出することが前提になっています。
割賦手数料は、割賦契約による商品の引き渡しという役務の提供は受けていますし、契約解除しても帰ってくるものでないので、性格的には繰延資産に該当する様な気がしますが、相手勘定「未払金」で計上する前払費用は、この要件を満たすのでしょうか?

また基本通達では、分割払の繰延資産として、債務が確定していても短期間でない場合には未払金で計上して償却することはできないとしています。

法人税法基本通達8−3−3(分割払の繰延資産)
法人が令第14条第1項第6号《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる繰延資産となるべき費用の額を分割して支払うこととしている場合には、たとえその総額が確定しているときであっても、その総額を未払金に計上して償却することはできないものとする。ただし、その分割して支払う期間が短期間(おおむね3年以内)である場合には、この限りでない。(昭51年直法2−39「4」、昭55年直法2−8「三十」、平19年課法2−3「二十」、平19年課法2−17「十八」により改正)

ということは、分割期間がおおむね3年以内であれば未払計上しても繰延資産に該当し、それ以上であれば普通の前払費用として処理することになるのでしょうか。
問題となるのは20万円未満の場合だけですが、つい悩んでしまいました。