行政書士の報酬に対する源泉徴収

2018年10月11日

行政書士業務に対する報酬についても源泉徴収が必要と勘違いしている方がいらっしゃいますが、源泉徴収は不要です。

したがって、行政書士報酬の請求書に源泉所得税額の記載がなくても間違いではありません。

報酬・料金等に対する所得税の源泉徴収

居住者(個人)に対し、国内において源泉徴収の対象となる報酬・料金等の支払をする会社や個人は、その報酬・料金等を支払う都度、所得税および復興特別所得税を徴収して、徴収した金額を国に納付しなければならないこととされています。

ただし、その報酬・料金等の支払者が個人であり、その個人が給与等の支払者でないとき(従業員や事業専従者がいない場合)、または給与等の支払者であっても、常時2人以下の家事使用人のみに対する給与の支払者である場合は、ホステス等に報酬・料金等を支払う場合を除いて、源泉徴収義務はありません。

源泉徴収の対象となる報酬・料金等

弁護士や税理士、社会保険労務士など(以下、弁護士等)の士業の業務に対して支払う報酬は、所得税の源泉徴収の対象となります。この報酬には、原則として、謝礼、研究費、日当、資料代、旅費の名義で支払われるものも含まれます。

ただし、弁護士等へ支払う報酬・料金であっても、下記のものは源泉徴収の対象となる報酬、料金に含めなくてもよいこととされています。

・弁護士等に支払う報酬・料金等のうち、本来は報酬・料金等の支払者が国等に対し登記や申請をするために納付すべきものとされるもので、請求書等でその内容が明示されているもの

例:司法書士が登記申請時に立替払いする登録免許税や印紙代等

・通常必要な範囲内の交通費、宿泊費等を支払者が直接、交通機関やホテル等に支払う場合(旅費であっても、弁護士等に対して支払ったものに対しては、源泉徴収の対象となります)

また、報酬・料金等の支払先が日本国内に本店または主たる事務所を有する法人であるときに所得税の源泉徴収が必要とされるのは、その報酬・料金等が「馬主に支払われる競馬の賞金」に該当する場合だけです。

そのため、弁護士等の業務等に対する報酬・料金等の支払であっても、支払先が「弁護士法人」や「税理士法人」等である場合には、源泉徴収は行わなくてもよいことになっています。

行政書士業務と所得税の源泉徴収の関係

所得税法において弁護士などの士業の業務に対して支払う報酬・料金等のうち、源泉徴収が必要とされるものは限定されています。

・弁護士

・司法書士

・土地家屋調査士

・公認会計士

・税理士

・社会保険労務士

・弁理士

・海事代理士

・測量士

・建築士

・不動産鑑定士

・技術士

・計理士

・会計士補

・企業診断員

・測量士補

・建築代理士

・不動産鑑定士補

・火災損害鑑定人

・自動車等損害鑑定人

・技術士補

上記には行政書士業務が含まれていないため、行政書士業務に対する報酬・料金等については、所得税の源泉徴収は必要ありません。 ただし、行政書士である個人に原稿執筆や講演を依頼して報酬を支払った場合などは、上記とは別の規定で所得税の源泉徴収が必要となる可能性があるので、注意が必要です。