同じ贈与でも負担付贈与は譲渡所得税が課税される

2019年3月18日

同じ贈与であっても負担付贈与は譲渡所得税が課税されます。

贈与税だけでなく譲渡所得税まで!?と考える方もいるでしょうが、両方が課税されるわけでなく、譲渡所得税だけが課税されます。

1.負担付贈与とは?

資産を贈与する際に、贈与を受ける条件として受贈者が贈与者の資産と債務を同時に引き受けることを「負担付贈与」といいます。

2.譲渡所得の「対価」に含まれるものとは?

所得税法上の譲渡所得における「対価」には、金銭だけじゃなく、金銭以外の物又は権利その他経済的な利益も含まれることになっています。

このため、名目上は贈与としていても、その贈与に伴って贈与者が負っていた債務相当額が受贈者に引き継がれるような場合には、贈与者は、受贈者に引き継がれた債務相当額の経済的利益を得たことになるわけです

例えば、帳簿価格1,000万円のマンションを2,000万円のローンと一緒に贈与した場合、2,000万円の収入が贈与者に発生します。その収入額からマンションの帳簿価格(未償却残高)1,000万円を控除した残額が譲渡所得の対象となり、所得税が課税されることとなります。

このように、資産を「贈与」する場合であっても、「贈与税」だけでなく「所得税」などが課税されることがあります。思わぬ税負担が発生しないようにするため、資産の贈与を検討される場合には、事前に専門家へ相談することをおすすめします。

所得税法36条(収入金額)

その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。

2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。

所得税法第59条(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)

次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。

一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)

二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)

所得税法基本通達59-2(低額譲渡)

法第59条第1項第2号に規定する「対価」には、法第36条第1項《収入金額》に規定する金銭以外の物又は権利その他経済的な利益も含まれるから、贈与名義による法人に対する資産の移転であっても、当該移転に伴い債務を引き受けさせることなどによる経済的な利益による収入がある場合には、当該移転については、法第59条第1項第1号の規定の適用はなく、当該経済的な利益による収入に基づいて同項第2号の規定の適用の有無を判定する。