未成工事支出金と消費税の仕入控除のタイミング
建設業の勘定科目で「未成工事支出金」があります。
未成工事支出金は、建設業者が資材の購入、外注費などを支出した時点で使う勘定科目です。
建物などの引き渡し時点で、未成工事支出金は完成工事原価に振り替えられます。
ところで、これらの会計処理において消費税の仕入控除はどのタイミングで行えばよいのでしょうか?
仕入控除のタイミングは選択可能
消費税における仕入控除のタイミングは、原則は資材であれば購入した日、外注であれば、その引き渡しを受けた日が課税仕入れの日となります。
消費税法基本通達11-3-1
(課税仕入れを行った日の意義)
法第30条第1項第1号《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する「課税仕入れを行った日」及び同項第2号に規定する「特定課税仕入れを行った日」とは、課税仕入れに該当することとされる資産の譲受け若しくは借受けをした日又は役務の提供を受けた日をいうのであるが、これらの日がいつであるかについては、別に定めるものを除き、第9章《資産の譲渡等の時期》の取扱いに準ずる。
前述に対し、継続適用することを条件に、未成工事支出金を計上した時ではなく、工事が完成し、施主に引き渡す時点で一括で未成工事支出金を工事原価へ振り替え、そのタイミングで課税仕入れにすることも可能です。
消費税法基本通達11-3-5
(未成工事支出金)
事業者が、建設工事等に係る目的物の完成前に行った当該建設工事等のための課税仕入れ等の金額について未成工事支出金として経理した場合においても、当該課税仕入れ等については、その課税仕入れ等をした日の属する課税期間において法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されるのであるが、当該未成工事支出金として経理した課税仕入れ等につき、当該目的物の引渡しをした日の属する課税期間における課税仕入れ等としているときは、継続適用を条件として、これを認める。
引用元:国税庁ホームページ
注意しなければならないのは、請負契約における中途金を支出した時点では課税仕入れとしては処理できないことです。
建物の基礎工事、内装工事、外装工事など細かく契約内容が取り決められていて、それぞれの完成の都度支払う場合は別として、工事期間のある一定時期に中間金として支払う契約によるものは、仮払金として処理し、引き渡しを受けたときに課税仕入れに振り替えることが出来ます。
消費税は、原則として仕入れ時点での処理となりますが、請負工事については完成時点での一括での仕入控除が認められているというものです。
資金的に問題がなければよいですが、長期の工事であれば消費税の納付を抑えるため、原則的な消費税の仕入控除の処理がおすすめです。