非課税となる学資金とは

所得税の中には学校等に通うために支給した金品が非課税となる規定があります。

会社が従業員が学校に通うために支出した費用は、どのような場合が非課税となるのでしょうか?

業務に直接必要な資格等の費用は非課税

所得税法第9条

(非課税所得)
次に掲げる所得については、所得税を課さない。

十五 学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品

イ 法人である使用者から当該法人の役員(法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員をいう。ロにおいて同じ。)の学資に充てるため給付する場合

ロ 法人である使用者から当該法人の使用人(当該法人の役員を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者の学資に充てるため給付する場合

ハ 個人である使用者から当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族(当該個人と生計を一にする者を除く。)の学資に充てるため給付する場合

ニ 個人である使用者から当該個人の使用人(当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者(当該個人と生計を一にする当該個人の配偶者その他の親族に該当する者を除く。)の学資に充てるため給付する場合

所得税法基本通達9-14

(通常の給与に加算して受ける学資に充てるため給付される金品)

法第9条第1項第15号の規定の適用において、学資に充てるため給付される金品(以下9-16までにおいて「学資金」という。)で、給与その他対価の性質を有するもののうち、給与所得を有する者がその使用者から受けるものについて非課税となるのは、通常の給与に加算して受けるものに限られるのであるから、同号イからニまでに掲げる場合に該当しない給付であっても、通常の給与に代えて給付されるものは、非課税とならないことに留意する。

タックスアンサーでは下記のような説明があります。

No.2588 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき
[平成27年4月1日現在法令等]

 役員や使用人に、仕事に関係のある技術や知識を習得させるための費用や学校の授業料などの学資金を支給する場合があります。
 この場合には、支給したこれらの費用が一定の要件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。

1 技術や知識の習得費用
 技術や知識の習得費用は、次の三つのいずれかの要件を満たしており、その費用が適正な金額であれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。

(1) 会社などの仕事に直接必要な技術や知識を役員や使用人に習得させるための費用であること。
(2) 会社などの仕事に直接必要な免許や資格を役員や使用人に取得させるための研修会や講習会などの出席費用であること。
(3) 会社などの仕事に直接必要な分野の講義を役員や使用人に大学などで受けさせるための費用であること。
2 学資金
 学資金を支給する場合には、役員と使用人ではその取扱いが違います。
 役員や使用人に学資金を支給する場合には、原則としてすべて課税されます。
 しかし、使用人本人が通学している高校までの学資金を支給する場合で、その修学のための費用として適正なものは、役員又は使用者である個人の親族のみをその対象とする場合を除き、給与として課税しなくてもよいことになっています。
 したがって、大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校の学資金を支給する場合には、上記1に該当するものを除き給与として課税されます。

(所法9、所基通9-14~16)

よく問題にされるのが、税理士や中小企業診断士などの資格取得費用を支給した場合の取扱いですが、こういった資格は一身専属的なものであり、当人が事業主となって仕事ができるものです。

極端な話、事業主が税理士や中小企業診断士の資格を所有していれば、使用人が資格を持っていなくても補助者として仕事は出来ます。

税理士や中小企業診断士の資格は、直接業務に必要な資格とは言えないので、その取得費用を支給した場合は給与として課税されるわけです。

ただし、一身専属的な資格にはボイラー技士や危険物取扱者などの業務を行う上で直接必要な資格については、その費用の額が適正なものであれば非課税となります。

医師や看護師、その他の医療系資格についても奨学金の免除が非課税となる措置があるようです。