運転経歴証明書の発行手数料に消費税はかかる?

65歳以上高齢者の事故発生件数は、平成21年(2009年)が6,883件、平成30年(2018年)が5,860件です。一見、事故件数は減っているように思えますが、全体に占める高齢者の事故件数割合は12.2%から18.0%に上昇しています。

そんな中、そもそも運転しなければ事故が起こらないという考えから、警察が運転免許証返納を呼びかけ、返納する方も増えています。

さて、運転免許証を身分証明書代わりに使っている方にとって、免許証を返納してしまうと身分証明書が無くなってしまいます。対処する方法としては、運転経歴証明書を発行する方法があります。

この証明書の発行には手数料がかかりますが、消費税は課税されるのでしょうか?

運転経歴証明書の発行手数料は行政手数料

消費税は、消費税法の別表第一に掲げるものは非課税とされています。

消費税法 第6条

(非課税)

国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。

 

消費税法 別表第一(一部抜粋)

五 次に掲げる役務の提供

イ 国、地方公共団体、別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託若しくは指定を受けた者が、法令に基づき行う次に掲げる事務に係る役務の提供で、その手数料、特許料、申立料その他の料金の徴収が法令に基づくもの(政令で定めるものを除く。)
(1) 登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認及び指定
(2) 検査、検定、試験、審査、証明及び講習
(3) 公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写
(4) 裁判その他の紛争の処理

運転経歴証明書は、免許の全部申請取消しを行った日から、過去5年間の運転経歴を証明するもので、都道府県警察が交付してくれます。実際には自動車安全運転センター交付が交付してくれます(自動車安全運転センター法施行規則9条)に規定する経歴証明業務としてが行っています。

この証明手数料は、運転免許証の交付手数料等と同じように、各都道府県が条例で定めており、運転経歴証明書の交付手数料は、消費税法基本通達6-5-1(1)ハに該当しますので、行政手数料として非課税となります。

消費税法基本通達6-5-1

(非課税となる行政手数料等の範囲等)

国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託又は指定を受けた者が徴収する手数料等で法別表第一第5号イ及びロ((国、地方公共団体等が行う役務の提供))の規定により非課税となるのは、次のものであるから留意する。
(平14課消1―12、平17課消1―22、平28課消1―57、平30課消2―5改正)

(1) 法令(法律、政令、省令又は大臣告示のほか条例及び規則を含み、業務方法書又は定款等は含まない。以下6―5―2までにおいて同じ。)に基づいて行われる次に掲げる事務の手数料、特許料、申立料その他の料金(以下6―5―1において「手数料等」という。)で、その徴収について法令に根拠となる規定があるもの
イ 登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認及び指定
ロ 検査、検定、試験、審査及び講習(令第12条第1項第1号イからニまで((非課税となる国、地方公共団体等の役務の提供))に掲げる事務のいずれにも該当しないものを除く。)
ハ 証明(令第12条第1項第2号((非課税となる国、地方公共団体等の役務の提供))に掲げるものを除く。)
ニ 公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(令第12条第1項第2号に掲げるものを除く。)
ホ 裁判その他の紛争の処理
ヘ 旅券の発給(旅券法第20条第1項((手数料))に掲げる渡航先の追加、記載事項の訂正、再発給、旅券の合冊又は査証欄の増補及び渡航書の発給を含む。)
ト 裁定、裁決、判定及び決定
チ 公文書に類するもの(記章、標識その他これらに類するものを含む。以下同じ。)の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(令第12条第1項第1号に掲げる事務に係るものを除く。)
リ 審査請求その他これに類するものの処理

 

自動車安全運転センター法施行規則 第9条

(経歴証明業務)

法第二十九条第一項第四号の内閣府令で定める事項は、無事故・無違反の証明に関する事項、運転記録(累積点数、証明日を起算日とする過去五年以内における違反行為及び道交法施行令別表第三の備考に規定する前歴(以下この条において「前歴」という。)に関する記録をいう。)の証明に関する事項、累積点数等(累積点数、累積点数に係る違反行為及び前歴に関する記録をいう。)の証明に関する事項又は運転免許に係る経歴の証明に関する事項とし、これらの事項を記載する同号の書面の様式は、それぞれ別記様式第二、第三、第三の二又は第四のとおりとする。

個人として必要な場合には、消費税のことはあまり気にすることはないでしょうが、会社で必要なケースで、会社が支払う場合には消費税の区分に注意する必要があります。