印紙税 運送と請負が混在する場合の取り扱い

産業廃棄物の処分に関して運送と処分を請け負う場合、契約書に貼る印紙の金額に迷うことがあります。

運送であれば「1号の4文書」、処分であれば請負の「2号文書」に該当するので、じゃあどちらで印紙税を計算すればよいのか判断に困ってしまうわけです。

そこで、印紙税法において1号文書と2号文書の取り扱いに困らないように定められています。

今回は1号文書と2号文書に該当する契約書の印紙税の計算について解説します。

契約書で「1号文書」と「2号文書」とに該当する場合は「1号文書」

産業廃棄物の処分は、運送だけを行う場合と運送した上で処分まで行う場合があります。

前者の場合は完全に運送に該当しますが、処分を行う場合は、あくまで処分を行うことが目的であるので請負と考えられます。

ただし、契約書の中では「運送××円」、「処分○○円」などと記載するはずなので、運送なのか処分なのか判断に迷うわけです。

余談ですが、廃棄物処分の契約を交わす際は、最終的にどれだけの数量を取り扱うか分からないケースがほとんどです。その場合に単価だけ契約書に記載すると、記載金額がない契約書となってしまうので、予定数量や最低あるいは最高金額などを記載することによって、記載金額のある契約書とすることができます。

課税物件表の適用に関する通則 4ホ

ホ 次の(一)から(三)までの規定に該当する文書の記載金額については、それぞれ(一)から(三)までに定めるところによる。
(一) 当該文書に記載されている単価及び数量、記号その他によりその契約金額等の計算をすることができるときは、その計算により算出した金額を当該文書の記載金額とする。
(二) 第一号又は第二号に掲げる文書に当該文書に係る契約についての契約金額又は単価、数量、記号その他の記載のある見積書、注文書その他これらに類する文書(この表に掲げる文書を除く。)の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該契約についての契約金額が明らかであるとき又は当該契約についての契約金額の計算をすることができるときは、当該明らかである契約金額又は当該計算により算出した契約金額を当該第一号又は第二号に掲げる文書の記載金額とする。
(三) 第十七号に掲げる文書のうち売上代金として受け取る有価証券の受取書に当該有価証券の発行者の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があること、又は同号に掲げる文書のうち売上代金として受け取る金銭若しくは有価証券の受取書に当該売上代金に係る受取金額の記載のある支払通知書、請求書その他これらに類する文書の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該売上代金に係る受取金額が明らかであるときは、当該明らかである受取金額を当該受取書の記載金額とする。

話を戻しますが、1号文書と2号文書の所在を決めるために、印紙税法の中にある「課税物件表の適用に関する通則 3ロ」に次のように記載されています。

課税物件表の適用に関する通則 3ロ

第一号に掲げる文書と第二号に掲げる文書とに該当する文書は、第一号に掲げる文書とする。ただし、当該文書に契約金額の記載があり、かつ、当該契約金額を第一号及び第二号に掲げる文書のそれぞれにより証されるべき事項ごとに区分することができる場合において、第一号に掲げる文書により証されるべき事項に係る金額として記載されている契約金額(当該金額が二以上ある場合には、その合計額。以下このロにおいて同じ。)が第二号に掲げる文書により証されるべき事項に係る金額として記載されている契約金額に満たないときは、同号に掲げる文書とする。

要するに1号文書と2号文書に該当する場合は、通常は1号文書になり、2号文書の金額が大きい場合は2号文書になるということです。

印紙税は金額は少なくても塵も積もれば山となる

印紙税法は、たかが100条程度で税法の中では少ない条文の法律です。

ただし、印紙税の計算に迷うことも多く、結構間違って計算されていたりします。間違っていたことが税務署に知られると、本税とは別に2倍の過怠税を納めなければならないので、金額は小さいとはいえ馬鹿にできません。例えば1万円の印紙を貼り忘れていた場合、3万円を納めなければならないわけです。

間違って多く印紙を貼っていたりするとちりも積もれば・・・ではないですけど、無駄に税金は払わないようにしたいですね。まあ、貼らなければいけない印紙を貼っていないケースでは、気付かなければ税金が少なくなってファインプレーといいうことで幸いかな?