アーケードの負担金は繰延資産 分割払いの場合は支払期間で償却額が変わります

2018年10月16日

繁華街でよく見られるアーケード。各商店などでアーケードの建設費用を負担した場合、「自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用」(法人税法施行令第14条第1項第6号イ)ということで繰延資産に該当し、5年間で均等償却しなければなりません。

アーケードの負担金を一括払いした場合、支払った時から5年で償却できますが、負担が大きいということで分割払いになるケースも多いようです。ただし、分割払いのときの償却には注意が必要です。

繰延資産であるアーケード負担金の取り扱い

法人税法基本通達8-3-3(分割払の繰延資産)

法人が令第14条第1項第6号《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる繰延資産となるべき費用の額を分割して支払うこととしている場合には、たとえその総額が確定しているときであっても、その総額を未払金に計上して償却することはできないものとする。ただし、その分割して支払う期間が短期間(おおむね3年以内)である場合には、この限りでない。(昭51年直法2-39「4」、昭55年直法2-8「三十」、平19年課法2-3「二十」、平19年課法2-17「十八」により改正)

 

法人税法基本通達8-3-4(長期分割払の負担金の損金算入)

法人が公共的施設又は共同的施設の設置又は改良に係る負担金で繰延資産となるべきものを支出した場合において、当該負担金が次のいずれにも該当するものであるときは、その負担金として支出した金額は、その支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする。(昭53年直法2-24「二」により追加、昭55年直法2-8「三十」により改正)

(1) その負担金の額が、その負担金に係る繰延資産の償却期間に相当する期間以上の期間にわたり分割して徴収されるものであること。

(2) その分割して徴収される負担金の額がおおむね均等額であること。

(3) その負担金の徴収がおおむねその支出に係る施設の工事の着工後に開始されること。

ちょっとわかりづらく書いてありますが、アーケード負担金が分割払いで期間が5年を超えるような場合は毎年の支払額を全額経費として処理できるということです。

問題なのが負担金の支払い期間が5年以下の場合です。

まず負担金の支払期間が3年の場合です。負担金の総額が分かっていて、全額を未払計上した場合は5年で均等償却でします。

アーケード負担金の総額が90万円だとします。毎年の償却額は下記のとおりとなります。

1年目2年目3年目4年目5年目合計
償却額18万円18万円18万円18万円18万円90万円

そして、分割払いが5年の場合はどうなるかというと、総額を未払計上することが出来ず、毎年の支払額をそれぞれ5年で償却しなければなりません。

負担金の総額が90万円で、毎年の18万円を支払っていた場合は償却額は下記のようになります。

支出金額1年目2年目3年目4年目5年目6年目7年目8年目9年目
1回目3.63.63.63.63.618
2回目3.63.63.63.63.618
3回目3.63.63.63.63.618
4回目3.63.63.63.63.618
5回目3.63.63.63.63.618
3.67.210.814.41814.410.87.23.690

アーケード負担金は一括払あるいは3年以内の一括未払計上では5年で償却できますが、4年、5年の分割払いは償却期間が長くなるのがお分かりいただけたでしょうか?

 

法人税法の取り扱いについて、注意したい点について一覧にまとめていますので、もしろろしかったらご覧ください。

【まとめ】法人税について知っておきたい豆知識