交通事故の保険金の課税関係(所得税・相続税)

2018年8月3日

交通事故で運悪く死亡した場合には、自賠責や任意保険から支払われる保険金や加害者から支払われる賠償金が支払われます。

この賠償金は税務上では非課税とされています。ただ、死亡に起因して受け取る倍所金であるので、相続税法の非課税規定に定められていると勘違いしている方も多いようです。

しかし、相続税法に非課税規定はありません。というのは、死亡に伴い遺族が直接受け取るものであり、非課税規定は所得税法に定められています。

所得税法施行令第30条第1号には非課税所得の範囲として、「心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金」が挙げられており、事故によって傷害を負った場合には、本人が受け取る賠償金や傷害によって勤務や業務に従事することが出来なかったため、収益補償として受け取るものも含めて非課税所得に該当します。

ただし、本人が障害による賠償金を受け取った後に死亡した場合には、その賠償金は相続財産に取り込まれます。被相続人が所有していた財産ということになるわけです。

 

所得税法施行令(非課税とされる保険金、損害賠償金等)
第三十条 法第九条第一項第十七号(非課税所得)に規定する政令で定める保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)は、次に掲げるものその他これらに類するもの(これらのものの額のうちに同号の損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、当該金額を控除した金額に相当する部分)とする。

一 損害保険契約(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社若しくは同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約又は同条第十八項に規定する少額短期保険業者(以下この号において「少額短期保険業者」という。)の締結したこれに類する保険契約をいう。以下この条において同じ。)に基づく保険金、生命保険契約(同法第二条第三項に規定する生命保険会社若しくは同条第八項に規定する外国生命保険会社等の締結した保険契約又は少額短期保険業者の締結したこれに類する保険契約をいう。以下この号において同じ。)又は旧簡易生命保険契約(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)第二条(法律の廃止)の規定による廃止前の簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第三条(政府保証)に規定する簡易生命保険契約をいう。)に基づく給付金及び損害保険契約又は生命保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかつたことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む。)

二 損害保険契約に基づく保険金及び損害保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金(前号に該当するもの及び第百八十四条第四項(満期返戻金等の意義)に規定する満期返戻金等その他これに類するものを除く。)で資産の損害に基因して支払を受けるもの並びに不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金(これらのうち第九十四条(事業所得の収入金額とされる保険金等)の規定に該当するものを除く。)

三 心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(第九十四条の規定に該当するものその他役務の対価たる性質を有するものを除く。)