家が先か人が先かで火災保険金の受取人が変わる

2020年2月7日

持ち家を所有している人は、万が一に備えて火災保険を契約しています。

不幸にも自己所有の自宅で火災が発生してしまい、家主等が火災に巻き込まれて亡くなった場合に、家主が亡くなるタイミングで保険金の取り扱いが変わってきます。

パターンとしては下記のふたつ。

1.先に家が焼けて、その後に家主が亡くなる

2.先に家主が亡くなって、その後に家が焼ける

この違いでどういう影響があるのでしょうか?

家主に亡くなるタイミングで保険金の帰属が変わる

1の場合、家の保険金が家主に支払われ、その後に家主が亡くなったと考えられ、保険金は相続財産に取り込まれます。

2の場合、相続人が家と保険の権利を相続し、その後に家が焼失したと考えられます。この場合は家は焼失しており、火災で被害を受けた部分は相続財産から控除されます(災害減免法第6条)。また、保険の権利については掛け捨て保険であれば課税関係は生じず、相続人自身の財産となります。

災害減免法第6条(災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律)

相続税の納税義務者で災害に因り相続又は遺贈に因り取得した財産について相続税法第二十七条又は第二十九条の規定による申告書の提出期限前に甚大な被害を受けたものの納付すべき相続税については、当該財産の価額は、政令の定めるところにより、被害を受けた部分の価額を控除した金額により、これを計算する。
2 前項の規定は、贈与税の納税義務者で災害に因り贈与に因り取得した財産について相続税法第二十八条の規定による申告書の提出期限前に甚大な被害を受けたものの納付すべき贈与税について準用する。

2の場合については警察や保険会社の現場検証等によって先に人が亡くなったことが明らかである場合に該当します。通常は家が焼失してから亡くなったと判断されることになるでしょう。

消防庁による統計によると、平成29年の火災による死者数は1,456人です。10万人あたりの死者数としては0.9人程度で、火災による亡くなる確率はかなり低いと言えます。

それでも、可能性としてはあるわけで、そういうケースが起きた場合はしっかり対応したいものですね。