マラソンなどのイベント参加費は会社の経費にできる?

法人税法

最近では少し下火になっているものの、マラソンブームは続いており、2018年現在で全国で行われる市民マラソン開催数は2,000件を超えているそうです。

会社で有志を募って従業員の誰かが参加することになった場合、その費用を会社の経費として損金算入することは可能なのでしょうか?

考えられるパターンとしては、広告宣伝費・福利厚生費・社内交際費がありますが、それぞれのパターンで算入を検討してみます。

企業の認知度を上げるために支出すれば広告宣伝費

マラソンに参加することで、企業の認知度がアップして広告宣伝効果があるのであれば広告宣伝費として費用計上することは可能でしょう。

ただし、広告宣伝費として計上するためには、フルマラソンの協賛企業であるか、社員がフルマラソンに何かしらの形で参加する必要があります。会社をあげてフルマラソンに協力する必要があるというわけです。

たとえば、従業員40人の会社のメンバー4人が、参加者10,000人のマラソンに社名入りユニフォームで参加したとしたら、参加者の10,000分の4の割合となります。これでは、広告宣伝効果を期待することは難しいでしょう。

すべての従業員を対象に支出すれば福利厚生費

会社の福利厚生の一環としてマラソン大会に参加した場合には福利厚生費として費用計上できるのか検討してみます。

税務上において福利厚生費として費用計上するには、一般的に以下の要件が必要とされています。

・すべての従業員を対象にしている。ある特定の従業員のみに対するものはダメ。
・一般的に常識の範囲内の金額での支出
・社内規定等に支給に関する一定の基準を設けてある

福利厚生費として計上するためには、最低限上記の要件を満たす必要があります。

マラソン大会に参加するのは、おそらく全従業員のうちの一部に過ぎず、特定の従業員への現物支給となります。

現物支給ということになれば、給与課税しなければなりません。

金額に関しては、高くても10,000円ぐらいでしょうから、一般的に常識の範囲内であると言えます。

マラソン大会への参加規定を作っている会社は少ないでしょうが、マラソンだけでなく、いろんなスポーツの社内サークルを作って、すべての従業員が、いずれかのサークルに加入するようにして、活動費として支出すれば、福利厚生費として計上できる余地はあるかもしれません。

所得税法基本通達36-30

(課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用)

使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。

交際費

中小企業には交際費の全額損金算入できる枠が800万円あります。

福利厚生費で処理できないのであれば、最後に検討できる余地があるのは交際費でしょう。

交際費の意義については租税特別措置法基本通達で以下のように記載されています。交際費等は、「得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出」であるとされていて、取引の円滑化を図るためのものであるとされています。

租税特別措置法基本通達61の4(1)-1

(交際費等の意義)

措置法第61条の4第4項に規定する「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費、その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいうのであるが、主として次に掲げるような性質を有するものは交際費等には含まれないものとする。(昭57年直法2-11「十一」、平6年課法2-5「三十一」、平26年課法2-6「三十二」により改正)

1.寄附金
2.値引き及び割戻し
3.広告宣伝費
4.福利厚生費
5.給与等

特定の従業員に対してのみマラソン大会の参加費用を支給すると、従業員が享受した経済的利益相当額を「現物給与」であると指摘される可能性があります。となれば、マラソン大会参加費を社内交際費として計上することは難しいでしょう。

一部社員への現物支給は給与課税が無難

一部の社員のみに対する経済的利益の供与は給与として課税されます。会社がどうしてもマラソン参加費を支出したいのであれば、税務上の取扱いとしては「現物給与」とするのが無難です。

マラソンが苦手な人は短距離コース、体力に自信がある人はフルマラソンという風にして、会社全体でマラソン大会に参加すれば福利厚生費として処理できる余地はあるかもしれませんが、一部の社員のみが参加するのであれば給与として課税するのがよさそうですね。

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