民泊サービスに関する課税

2018年9月12日

「民泊サービス」とは住宅の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供するものですが、これを行うためには、旅館業法の許可を得る必要があります。

平成28年4月より、この旅館業法の許可について規制緩和が行われ、簡易宿所営業の許可要件である客室延床面積(33㎡以上)の基準が改正されて、一度に宿泊させる宿泊者数が10人未満の施設の場合、宿泊者1人当たり面積3.3㎡に宿泊者数を乗じた面積以上で許可を受けられることになりました。

また、同時に宿泊させる宿泊者数が10人未満の小規模な施設で簡易宿所営業の許可を取る場合は、フロントの設置を要しない旨の通知改正が行われました。

これらの改正によって、従来よりも旅館業の営業許可を容易に取得することが出来るようになったわけです。

ただし、フロントの設置については、自治体の条例で設置義務が定められている場合がありますので、各自治体に確認する必要があります。

所得税の取扱いは?

所得税法上、民泊サービスで得られる収入は、不動産所得、事業所得、雑所得のいずれかに該当すると考えられます。

給与所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告は不要ですが、給与所得がある個人が民泊サービスを行った場合にその所得金額が20万円を超えた場合には、「雑所得」として確定申告をする必要があります。

雑所得の場合は、赤字が出たとしても損益通算できないほか、青色申告制度を適用することはできませんのでご注意を。

事業的規模で不動産賃貸を行っている個人が、所有している賃貸用不動産を利用して民泊サービスを行った場合に得た収入については、「不動産所得」に該当することになるでしょう。民泊サービスの際に一緒に食事を提供する場合は、「事業所得」に該当すると考えられます。

不動産所得、事業所得に該当した場合には、赤字が出た場合は他の所得と損益通算することができ、青色申告制度も適用することができます。

消費税の取扱いは?

「住宅の貸付け」に対する家賃は非課税となりますが、民泊サービスの宿泊料は、「住宅の貸付け」には該当せず、課税売上に該当すると考えられます。

非課税となる住宅の貸付けからは、「貸付期間が1か月未満の場合」と「旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合」が除外されています。

一般的な民泊サービスは、「旅館業法第2条第1項に規定する簡易宿所」であるとされているので、消費税課税事業者の場合には、消費税の税額計算に含める必要があります。

簡易課税制度を選択している場合、民泊サービスの宿泊料は第5種事業で消費税の計算を行います。ただし、宿泊者に食事の提供をする場合、請求方法や経理方法により取扱いが異なります。

食事代と宿泊代を明確に区分できる場合、食事は第4種事業、宿泊代は第5種事業として、区分経理して消費税の計算を行うことができます。

これに対して、「一泊二食付で1万円」のように食事代込みで宿泊料を定めている場合、その宿泊料の全額が第5種事業の対象となります。

民泊サービスは、東京五輪を控えていることや訪日外国人が増加していることに加え、外国人観光客のニーズのことを考えると、今後、ますます広がっていくことが予想されます。

民泊サービスで得られた収入は、申告及び納税の義務があることをしっかり認識しておく必要があります。

 

消費税について、知っておきたい豆知識をまとめていますので、ぜひご覧ください。

【まとめ】消費税について知っておきたい豆知識