特許権や商標権などの知的財産権の法定耐用年数は?

2019年7月15日

意匠法が改正され、保護期間が20年から25年に延長される動きがあるようです。

改正されれば期間の延長だけではなく、適用される範囲も拡大し、ウェブサイトのレイアウトや建築物の内外装も保護の対象となるようです。

知的財産権は、無形固定資産として定額法で減価償却されるわけですが、保護期間と法定耐用年数にはズレがあるので、それぞれの内容を確認してみました。

知的財産権とは?

知的財産権とは、知的財産基本法に定められています。

知的財産基本法 第2条

この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。

2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

知的財産権が属する無形固定資産とは?

そもそも、無形固定資産とは何なのでしょうか?

無形固定資産とは、固定資産のうち、物的な存在形態をもたない資産を差します。

無形固定資産はさらに、法的権利と営業権の2種に分類されます。

法的権利は、知的財産権である特許権・借地権・商標権・実用新案権・意匠権・鉱業権などです。

営業権とは、営業譲渡や株式交換、合併、買収などを行ったときに得た資産や負債と支払った額との差額のことです。一般的に「のれん」と呼ばれており、企業権とも呼ばれます。

無形固定資産の法定耐用年数

無形固定資産の法定耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第3」において定められています。

別表第三 無形減価償却資産の耐用年数表

種類細目耐用年数
漁業権10
ダム使用権55
水利権20
特許権8
実用新案権5
意匠権7
商標権10
ソフトウエア複写して販売するための原本3
その他のもの5
育成者権種苗法に規定する品種10
その他8
営業権5
専用側線利用権30
鉄道軌道連絡通行施設利用権30
電気ガス供給施設利用権15
水道施設利用権15
工業用水道施設利用権15
電気通信施設利用権20

知的財産権の保護期間と法定耐用年数のズレ

知的財産権の具体的内容とその保護期間、そして法定耐用年数のズレをまとめました。

意匠権

内容:物の形状や模様に関する斬新なデザイン

保護期間:20年→25年(改正予定)

法定耐用年数:7年

特許権

内容:高度な技術的アイデアである発明

保護期間:20年(一部で25年)

法定耐用年数:8年

実用新案権

内容:発明ほど高度でない技術的アイデア

保護期間:10年

法定耐用年数:5年

商標権

内容:商品やサービスを他と区別するためのマーク

保護期間:10年

法定耐用年数:10年

著作権

内容:思想や感情を創作的に表現した文芸、学術、美術、音楽など

保護期間:著作者の死後50年(法人は公表後50年)

法定耐用年数:償却不可(時の経過により減価しない)

まとめ

保護期間に比べて法定耐用年数は短めに設定されているようです。

著作権については、保護期間が70年に延長される案も出ていて、知財の保護期間は長くなる傾向にあります。

税法では耐用年数が延ばされるという話は今のところないようです。

早く経費にできるに越したことはないので、延長して欲しいという方はいないでしょうが・・・。