2018年上半期 第159回 直木賞候補作品および受賞作品
2018年7月18日に第159回直木賞が決定しました。
直木賞は新聞・雑誌(同人誌を含む)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。1935(昭和10)年に制定されたもので、、受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が与えらます。
第159回 芥川賞候補者一覧
候補者名 | 候補作 | 出版社 |
上田早夕里(うえだ さゆり) | 破滅の王 | 双葉社 |
木下昌輝(きのした まさき) | 宇喜多の楽土 | 文藝春秋 |
窪美澄(くぼ みすみ) | じっと手を見る | 幻冬舎 |
島本理生(しまもと りお)受賞 | ファーストラヴ | 文藝春秋 |
本城雅人(ほんじょう まさと) | 傍流の記者 | 新潮社 |
湊かなえ(みなと かなえ) | 未来 | 双葉社 |
候補者紹介
上田早夕里
候補作【破滅の王】あらすじ
1943年6月、上海。かつては自治を認められた租界に、各国の領事館や銀行、さらには娼館やアヘン窟が立ち並び、「魔都」と呼ばれるほど繁栄を誇ったこの地も、太平洋戦争を境に日本軍に占領され、かつての輝きを失っていた。上海自然科学研究所で細菌学科の研究員として働く宮本敏明は、日本総領事館から呼び出しを受け、総領事代理の菱科と、南京で大使館附武官補佐官を務める灰塚少佐と面会する。宮本はふたりから重要機密文書の精査を依頼されるが、その内容は驚くべきものであった。「キング」と暗号名で呼ばれる治療法皆無の新種の細菌兵器の詳細であり、しかも論文は、途中で始まり途中で終わる不完全なものだった。宮本は治療薬の製造を依頼されるものの、それは取りも直さず、自らの手でその細菌兵器を完成させるということを意味していたーー。
「BOOK」データベースより
経歴
1964年兵庫県神戸市生まれ。神戸海星女子学院卒。2003年「火星ダーク・バラード」で第4回小松左京賞を受賞しデビュー。
代表作
『火星ダーク・バラード』03年角川春樹事務所刊。
『魚舟・獣舟』09年光文社刊。
『華竜の宮』10年早川書房刊=第32回日本SF大賞受賞。
『リリエンタールの末裔』11年早川書房刊。
『深紅の碑文』13年早川書房刊。『薫香のカナピウム』15年文藝春秋刊。
『夢みる葦笛』16年光文社刊、他。
木下昌輝
候補作【宇喜多の楽土】あらすじ
父・直家の跡を継ぎ豊臣政権の覇者となった秀家。
関が原で壊滅し、八丈島で長い生涯を閉じるまでを描く傑作長編。
経歴
1974年大阪府大阪市生まれ。近畿大学卒。2012年「宇喜多の捨て嫁」で第92回オール讀物新人賞を受賞。14年、同作を収録した『宇喜多の捨て嫁』でデビュー。
代表作
『宇喜多の捨て嫁』14年文藝春秋刊=第152回直木賞候補。
『人魚ノ肉』15年文藝春秋刊=第6回山田風太郎賞候補。
『天下一の軽口男』16年幻冬舎刊=第38回吉川英治文学新人賞候補。
『戦国24時 さいごの刻』16年光文社刊。
『敵の名は、宮本武蔵』17年KADOKAWA刊=第30回山本周五郎賞候補、第157回直木賞候補。
『秀吉の活』17年幻冬舎刊。『兵』18年講談社刊。
窪美澄
候補作【じっと手を見る】あらすじ
富士山を望む町で介護士として働く、かつて恋人同士だった日奈と海斗。老人の世話をし、ショッピングモールに出掛けることだけが息抜きの日奈の家に、東京に住む宮澤が庭の草刈りに通ってくるようになる。生まれ育った町以外に思いを馳せるようになる日奈。一方、海斗は、日奈への思いを断ち切れないまま、同僚の畑中との仲を深め、家族を支えるために町に縛りつけられていくが…。読むほどに打ちのめされる!忘れられない恋愛小説。
「BOOK」データベースより
経歴
1965年東京都稲城市生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年「ミクマリ」で、第8回女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞しデビュー。11年受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で第24回山本周五郎賞を受賞。同作は本屋大賞第2位、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位となる。
代表作
『ふがいない僕は空を見た』10年新潮社刊=第32回野間文芸新人賞候補、第24回山本周五郎賞受賞。
『晴天の迷いクジラ』12年新潮社刊=第29回織田作之助賞候補、第3回山田風太郎賞受賞。
『クラウドクラスターを愛する方法』12年朝日新聞出版刊。
『アニバーサリー』13年新潮社刊。
『雨のなまえ』13年光文社刊。
『よるのふくらみ』14年新潮社刊。
『水やりはいつも深夜だけど』14年KADOKAWA刊。
『さよなら、ニルヴァーナ』15年文藝春秋刊。
『アカガミ』16年河出書房新社刊。
『すみなれたからだで』16年河出書房新社刊。
『やめるときも、すこやかなるときも』17年集英社刊。
島本理生 受賞
候補作【 ファーストラヴ】あらすじ
ぜ娘は父親を殺さなければならなかったのか?多摩川沿いで血まみれの女子大生が逮捕された。彼女を凶行に駆り立てたものは何か?裁判を通じて明らかにされる家族の秘密とは?
「BOOK」データベースより
経歴
1983年東京都板橋区生まれ。都立新宿山吹高等学校に在学中の2001年に「シルエット」で、第44回群像新人文学賞の優秀作を受賞し、デビュー。06年立教大学文学部日本文学科中退。
代表作
「ヨル」1998年「鳩よ!」掌編小説コンクール第2期10月号当選、年間MVP受賞。
「シルエット」2001年群像6月号=第44回群像新人文学賞優秀作受賞。
「リトル・バイ・リトル」02年群像11月号=第128回芥川賞候補、単行本は03年講談社刊=第25回野間文芸新人賞受賞。
「生まれる森」03年群像10月号=第130回芥川賞候補。
『ナラタージュ』05年角川書店刊=第18回山本周五郎賞候補。
「大きな熊が来る前に、おやすみ。」06年新潮1月号=第135回芥川賞候補。
「Birthday」06年群像10月号=第33回川端康成文学賞候補。
『アンダスタンド・メイビー』10年中央公論新社刊=第145回直木賞候補。
『Red』14年中央公論新社刊=第21回島清恋愛文学賞受賞。
「夏の裁断」15年文學界6月号=第153回芥川賞候補、単行本は15年文藝春秋刊、他。
本城雅人
候補作【傍流の記者】あらすじ
優秀な記者ばかりがそろった黄金世代。しかし、社会部長になれるのはひとりだけだった。生き残っているのは得意分野が違う、四十歳をこえた五人の男。部下の転職や妻との関係、上司との軋轢に、本流との争い、苦悩の種に惑いながら出世レースが佳境を迎えたそのとき―。新聞社が倒れかねない大スキャンダルの火の粉が、ふりかかる。出世か、家族か。組織か、保身か。正義か、嘘か。自らの経験と更なる取材で、リアリティを極限までアップデート。火傷するほど熱い、記者たちの人生を賭けた闘いを見よ!
「BOOK」データベースより
経歴
1965年神奈川県藤沢市生まれ。明治学院大学卒。新聞社勤務を経て、2009年『ノーバディノウズ』でデビュー。
代表作
『ノーバディノウズ』09年文藝春秋刊=第16回松本清張賞候補、第1回サムライジャパン野球文学賞大賞受賞。
『嗤うエース』10年幻冬舎刊。
『スカウト・デイズ』10年PHP研究所刊。『球界消滅』12年文藝春秋刊。
『誉れ高き勇敢なブルーよ』14年東京創元社刊。
『LIFE』15年双葉社刊。
『トリダシ』15年文藝春秋刊=第18回大藪春彦賞候補、第37回吉川英治文学新人賞候補。
『贅沢のススメ』15年講談社刊。
『紙の城』16年講談社刊。
『英雄の条件』16年新潮社刊。
『ミッドナイト・ジャーナル』16年講談社刊=第38回吉川英治文学新人賞受賞。
『監督の問題』17年講談社刊。
『代理人(エージェント)』17年実業之日本社刊、他。
湊かなえ
候補作【未来】あらすじ
ある日、突然届いた一通の手紙。送り主は未来の自分だという…。『告白』から10年。湊ワールドの集大成!待望の書き下ろし長編ミステリー!
「BOOK」データベースより
経歴
1973年広島県因島(現・尾道)市生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。アパレルメーカー、青年海外協力隊、高校講師などを経て、2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年同作を収録した『告白』でデビュー。
代表作
『告白』08年双葉社刊=第6回本屋大賞受賞。
『少女』09年早川書房刊。
『贖罪』09年東京創元社刊=英語版は18年エドガー賞候補(ベスト・ペーパーバック・オリジナル部門)。
『Nのために』10年東京創元社刊。
『夜行観覧車』10年双葉社刊。
『往復書簡』10年幻冬舎刊。
『花の鎖』11年文藝春秋刊。
『境遇』11年双葉社刊。
『サファイア』12年角川春樹事務所刊。
『白ゆき姫殺人事件』12年集英社刊。
『母性』12年新潮社刊。
『望郷』13年文藝春秋刊=第149回直木賞候補(収録作中「望郷、海の星」=第65回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞)。
『高校入試』13年角川書店刊。
『豆の上で眠る』14年新潮社刊。
『山女日記』14年幻冬舎刊。
『物語のおわり』14年朝日新聞出版刊。
『絶唱』15年新潮社刊。
『リバース』15年講談社刊。
『ユートピア』15年集英社刊=第29回山本周五郎賞受賞。
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』16年光文社刊=第155回直木賞候補。