「ピンはね」とは一割引きのこと
「元請けにピンはねされて、手元に残るのは半分くらい」という話は誤りで、本当はきっちり一割引くのが「ピンはね」の意味です。
それでは、なんで差っ引くこと自体が「ピンはね」となってしまったのでしょうか?
江戸時代に生まれた「ピンはね」
ピンという言葉は、ポルトガル語のpintaからきたものです。
点を意味するpintaは、サイコロやカルタの1には点が記載されているだけなので、pintaと呼ばれていました。
江戸時代あたりからは、pintaという言葉が気に入った人々がいて、特に賭場で盛んに1のことをピンと呼ぶようになりました。
そして、賭場に出入りしている常連の中には、役者の元締めをしている者も多く、役者の手当てから1割差し引くことを「ピンをはねる」ということになったのです。
しかし、あこぎになるのが元締め。
二割はねたり、三割はねたりと、表向きは一割差し引くことになっていたので、はねる割合に関係なく「ピンはね」という言葉だけが一人歩きするようになってしまったのです。
世間では、天下り団体、暴力団、建設業、人材派遣、芸能事務所、民間団体など、中間的な組織が間に入り、上下関係に付け入り、理不尽なピンはねが広く行われているようです。
身近なものでいえば人材派遣会社。
派遣料金には派遣者に対する賃金にマージンが上乗せされるわけですが、その派遣料金に対するマージンの割合はなんと3割を超えているそうです。
そのマージン率は公表義務があるそうですが、公表している企業は2割強しかなく、ほとんどが公表していないことになります。
マージン率3割の場合、派遣料金が20万円のときは6割のマージンを払うことになり、派遣されている本人が受け取るのは14万円にしかなりません。
私たちの周りにも、暴力団とあまり変わらない派遣会社というとんでもない会社がのさばっているわけです。
「派遣会社は人材不足を補ってくれて、世の中のために尽くしてくれているなぁ」と考えていましたが、事実を知ってしまい、ちょっと興ざめしてしまいました。
話を戻しますが、ピンはねするときは1割だけにしたいものです。