事業所がなくても地方税の均等割が課税されることもある
地方税の規定により、市町村や都道府県内に事務所等を設ける法人は均等割と法人税割が課税されることになっています。
事務所等は、自己で所有するものに限らず、テナントを賃借する場合も該当し、継続して事業が行われている場合が該当します。
それでは、事業は行っていなくても、寮等を所有している場合はどうなるのでしょうか?
常設された福利厚生施設を有していれば均等割だけ課税される
市町村や都道府県内に事業所等は有さないが、寮等を有する法人には均等割のみが課税されます。
地方税法第24条
(道府県民税の納税義務者等)
道府県民税は、第一号に掲げる者に対しては均等割額及び所得割額の合算額によつて、第三号に掲げる者に対しては均等割額及び法人税割額の合算額によつて、第二号及び第四号に掲げる者に対しては均等割額によつて、第四号の二に掲げる者に対しては法人税割額によつて、第五号に掲げる者に対しては利子割額によつて、第六号に掲げる者に対しては配当割額によつて、第七号に掲げる者に対しては株式等譲渡所得割額によつて課する。
四 道府県内に寮、宿泊所、クラブその他これらに類する施設(「寮等」という。以下道府県民税について同じ。)を有する法人で当該道府県内に事務所又は事業所を有しないもの
地方税法第294条
(市町村民税の納税義務者等)
市町村民税は、第一号の者に対しては均等割額及び所得割額の合算額によつて、第三号の者に対しては均等割額及び法人税割額の合算額によつて、第二号及び第四号の者に対しては均等割額によつて、第五号の者に対しては法人税割額によつて課する。
四 市町村内に寮、宿泊所、クラブその他これらに類する施設(以下この節において「寮等」という。)を有する法人で当該市町村内に事務所又は事業所を有しないもの
ここでいう寮等というのは、宿泊所、クラブ、保養所、集会所等が該当し、「法人が従業員の一時的な宿泊、慰安、娯楽等の便宜を図るために常時設けている施設」のことを指します。
したがって、独身寮や社宅等の従業員の居住のための施設は含まれないことになります。
ところで、一戸建てような建物を購入し保養所としている場合は別として、リゾート地やスキー場の近くにマンションの一室を借上げるケースも多いようで、この場合は均等割が課税されます。
というのは、借上げられたものは、規模は小さいものの社員の宿泊、慰安、娯楽等のために常時設けれらた福利厚生施設と位置付けられるからです。
ただし、2~3ヵ月の期間で夏だけ、冬だけといった臨時に設置する施設等は寮等には該当せず、均等割も課税されません。