帳簿価格を相続税評価額に再計算

相続税の申告に際して、事業を営んでいた場合に所有していた一般動産や構築物などは帳簿価額によらず相続税評価額として再評価しなければなりません。

また、取引相場のない株式についても一般動産などの資産の再評価が必要です。

今回は一般動産などの資産の相続税評価額について解説します。

一般動産などの相続税評価額は定率法で償却

資産の相続税評価額は、たとえ定額法で償却していたとしても定率法で償却計算しなおして評価します。

償却の計算の基礎となる取得価額は再取得価額なのですが、世間相場から考えて相当に高額または低額でなければ、取得時の価格で計算しても問題ないでしょう。

一般動産の再評価

一般動産の評価額は、評価時点での同等品の実売価額からか経過期間に応じた定率法により計算した償却額の合計額を控除した金額となります。

財産評価基本通達129

(一般動産の評価)

一般動産の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価する。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)

財産評価基本通達130

(償却費の額の計算)

前項のただし書の償却費の額を計算する場合における耐用年数等については、次に掲げるところによる。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)

(1) 耐用年数
 耐用年数は、耐用年数省令に規定する耐用年数による。

(2) 償却方法
 償却方法は、定率法による。

引用元:国税庁ホームページ

構築物の再評価

構築物は、その構築物の再建築価額か経過期間に応じた定率法により計算した償却額の合計額を控除した金額の70%の評価となります。

平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備および構築物については定額法のみの償却が認められるようになりましたが、税務申告時は定額法で償却していたとしても、相続税評価額の計算は定率法で計算します。

財産評価基本通達97

(評価の方式)

構築物の価額は、その構築物の再建築価額から、建築の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額の100分の70に相当する金額によって評価する。この場合における償却方法は、定率法によるものとし、その耐用年数は耐用年数省令に規定する耐用年数による。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)

引用元:国税庁ホームページ