医師会などから支給される福祉共済制度の死亡一時金の課税関係
医師会などから福祉共済制度にもとづいて福祉共済金(死亡共済金)が支給されるケースがあります。
福祉共済金が生命保険金ということであれば相続財産とみなされます。
生命保険金はみなし相続財産とされ、「500万円×相続人の数」の分だけ非課税となります。
さて、この福祉共済金は、実際のところどういう風に取扱われるのでしょうか?
福祉共済金は所得税の一時所得となる
相続税法において、生命保険金の取扱いは下記のように定められています。
相続税法 第3条
(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合)
次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失つた者を含まない。第十五条、第十六条、第十九条の二第一項、第十九条の三第一項、第十九条の四第一項及び第六十三条の場合並びに「第十五条第二項に規定する相続人の数」という場合を除き、以下同じ。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。
一 被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する生命保険会社と締結した保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下同じ。)その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(共済金を含む。以下同じ。)又は損害保険契約(同条第四項に規定する損害保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る。)を取得した場合においては、当該保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)について、当該保険金(次号に掲げる給与及び第五号又は第六号に掲げる権利に該当するものを除く。)のうち被相続人が負担した保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分
相続税法施行令 第1条の2
(生命保険契約等の範囲)
法第三条第一項第一号に規定する生命保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約は、次に掲げる契約とする。
一 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する生命保険会社と締結した保険契約又は同条第六項に規定する外国保険業者若しくは同条第十八項に規定する少額短期保険業者と締結したこれに類する保険契約
二 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)第二条(法律の廃止)の規定による廃止前の簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第三条(政府保証)に規定する簡易生命保険契約(簡易生命保険法の一部を改正する法律(平成二年法律第五十号)附則第五条第十五号(用語の定義)に規定する年金保険契約及び同条第十六号に規定する旧年金保険契約を除く。)
保険会社の代理店として生命共済制度を提供し、生命保険金が支払われる場合は、相続財産として取り扱われます。
しかし、医師会などで設けられている福祉共済制度により支給されるものは、医師会から直接支給されるもので、生命保険会社として支給するものではありません。
したがって、福祉共済金は相続財産ではないわけですが、それでは、どういう取り扱いがされるかというと、所得税の課税対象となります。
所得税法 第34条
(一時所得)
一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。2 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。3 前項に規定する一時所得の特別控除額は、五十万円(同項に規定する残額が五十万円に満たない場合には、当該残額)とする。
そもそも、福祉共済制度にもとづいて支給されるされるものは、加入者本人あるいは指定した者に支給されるものであり、いずれの場合も一時所得となります。
福祉共済制度にもとづく死亡共済金を誤って相続財産として相続税の申告をしていしまうと、後から相続税を追徴される恐れがあるので注意が必要です。